米国時間6月22日、中国など「インターネット規制を実施している国々」で事業展開する米国のハイテク企業に対し新たに厳格な義務を課す議会法案が、法制化に向けての最初の難関を突破した。
Global Online Freedom Actと呼ばれる同法案は、Christopher Smith下院議員(共和党、ニュージャージー州選出)が2月に提出し、今回、アフリカ、世界的人権、国際事業などの問題を重点的に扱う米下院小委員会の発声採決で、満場一致で可決された。
Smith議員は22日に発表した声明の中で、「情報が政治的な検閲の対象とならなければ、インターネットなどの情報技術の発展は、民主化に向けた改革への力となり得る」と述べた。
Smith議員が同法案を提出する数日前に開かれた議会の公聴会で、議員らは、Microsoft、Google、Yahoo、Cisco Systemsの4社が中国の国家的検閲体制に協力しているとして、4社の関係者を厳しく非難した。
米国の政治家らの間でこの問題に対する懸念が急速に高まったきっかけは、中国における米国のハイテク企業各社の行動に関する一連の報道だった。中国政府の圧力の下、Microsoftはあるジャーナリストのブログを削除した。またYahooは、(中国政府の要求に応じて)情報を開示し、それが原因で少なくとも1人の中国人ジャーナリストが有罪判決を受けた。さらにGoogleも中国で提供する検索サービスに制約を設けている。また同公聴会で、政治家らは、Cisco製のハードウェアが(中国政府による)コンテンツのフィルタリングに役立っていると批判した。これに対しCiscoの関係者は、同社が世界中で販売している同種の機器でも同様の機能が利用可能だと弁明した。
また追求を受けた4社からは、事業を展開している国々では、現地の法律に従わざるを得ないとの声も上がった。
下院小委員会で可決された法案は、そのような行動を直接規制することを目的としている。同法案に定められた「最小限の企業規範」の下では、米国企業は、「インターネット規制を実施する国々」で、サーバなどのストレージ設備に、個人の特定が可能な情報を含む電子メールなどの電子通信を保存する行為が禁じられる。また同規則は、米国企業がそれらの国々の政府に対し、加入者に関する個人情報を開示することも禁じている。但し、「合法的な法執行目的」の場合は開示が認められる。
また同法案は、全ての検索エンジンサービスプロバイダーに対し、それらの国々で検索結果がどのように制限され、検閲されているかに関する詳細な情報を米国務省の世界インターネット自由局(Office of Global Internet Freedom)に提出するよう義務付けている。またウェブコンテンツのホストにも、現地で削除または遮断されたURLのリストの提出が義務付けられる。
インターネットサービスプロバイダー(ISP)には、違反行為1件につき200万ドル以下の罰金が科せられる。また、ブラックリストに掲載された国々において、Voice of Americaなど、米国政府後援のウェブサイトやコンテンツへのアクセスを遮断した場合には懲役刑が課される。
同法案によると、同法の主要な適用対象国は中国だが、ベラルーシ、キューバ、エチオピア、イラン、ラオス、北朝鮮、チュニジア、ベトナムのほか、米国政府が「インターネット規制国家」と判断した国々に対しても適用される可能性があるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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