サンフランシスコ発--女性がゲームを理解していないのではなく、ゲームの方が女性を理解していないのだ。
これは、米国時間6月8日から9日にかけてサンフランシスコで開催された「The Sex In Video Games Conference 2006」の基調講演において、Sheri Graner Ray氏が述べた内容だ。Ray氏はベテランの女性ゲーム開発者で、過去16年間にわたりSony Online EntertainmentやCartoon Networkでゲームデザインに携わってきた。
「Gender Inclusive Game Design: Expanding the Market」(ジェンダーを包括するゲームデザイン:市場を拡大するには)という著作もあるRay氏は、長年にわたり女性ゲーマーの代弁者を務めてきた。今回の講演の中で、同氏は米国のゲーム人口で女性の占める割合がなぜ10%にも満たないのか、その理由について考えを述べた。
ほとんどのビデオゲームは、女性にとってはろくでもないボーイフレンドのようなもので、自らの男らしさにこだわるあまり、女性の性に対する意識を踏みにじろうとすることさえある--Ray氏はそう主張する。
同氏は、ビデオゲームに出てくるヒロインは、みな巨乳で女性的特徴がひどく強調され、裸同然の姿だと指摘する。
それでも「女性だけでなく、男性キャラクターも大げさに表現されているのだから女性もあきらめるしかない、という理屈になるのだろうか?」とRay氏は講演の中で問いかけた。
いや、それは必ずしも当てはまらない。
Ray氏によれば、ゲーム内のキャラクターは男女を問わず、若くて力強く、たくましくて精力旺盛という、ヒーローに共通する性格付けがなされているのは確かだが、いつでも性行為に及べるとの印象を与えるような身体的特徴をもって描かれているのは女性キャラクターのみだという。例えば、赤くほてった唇を半開きにした口、とろんとした目元(いわゆる「男を誘う目」)といったものだ。
また、女性キャラクターがきわどい衣装を身にまといセクシーなポーズを取らされているのに対し、男性キャラクターではそういうことはない。
このように、女性を「性的対象」とみなすイメージの数々は、一般的な女性ゲーマーには受けないとRay氏は述べた。
プレゼンテーションの中で、Ray氏はとてもセクシーで完璧な肉体美を誇るCalvin Kleinの男性下着モデルをスライドに写し、こう質問した。
「こんな外見のキャラクターを操作してみたい人はいますか?」
当然のことながら、男性が大半を占める場内では、ほんの数人の女性が手を挙げただけだった。
しかし、男性キャラクターをセクシーにしたからといってうまくいくとは限らないというのが、Ray氏の真意のようだ。実のところ、女性のゲーマーが関心を持つのは刺激的なビジュアルや派手な見た目だけではないという。
Ray氏は「感情を伴う体験の重要性を軽んじてはいけない」と言う。ビデオゲームは女性に対し、キャラクターとより深く心を通わせる手段を提供する必要があるというわけだ。
同氏はさらに、ゲームメーカーが今後、本気で女性ゲーマーに商品を売り込むつもりなら、プレイヤーが操作するキャラクターに親しみを持てるように何らかの手段を講じるだろうし、キャラクターへの深い愛情をはぐくむ余地を設けることもあり得るだろうと述べた。「Seventeen」や「Tiger Beat」などのティーン向け雑誌では、アイドルの写真とともに、趣味や好きなもの、あるいは癖など、当たり障りのない範囲でその素顔を紹介するインタビュー記事が載っているものだが、このように、キャラクターへのインタビューなどを盛り込むゲームがあってもいいのではないかとRay氏は提言した。
結局のところ、女性ゲーマーの興味を持続させるには単なるアクション以上のものが必要だとRay氏は述べ、あるセミナーで見かけた13歳の少女の話を例に挙げて説明した。その少女は、ある人気の高いゲームで高得点を出したが、高いレベルのステージに進まず、すぐに飽きてゲームをやめてしまったという。
Ray氏がその理由を尋ねると、少女はこう答えたという。「もう嫌っていうほどたたきのめしてやったのに、どうしてもう一度同じことをやらなきゃいけないの?」
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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