インデックスは10月31日、2005年8月期の連結決算を発表した。仏123 Multimediaの子会社化によって海外向けのモバイルコンテンツ事業が伸び、売上高は前年同期比88.2%増となった(表1)が、ソリューション事業のプロジェクトの遅れなどから当初の事業計画値には届かなかった。
表1:2005年8月期決算
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コンテンツ事業は前期比173.4%増と大きく伸びた。123 Multimediaが連結対象となったことで、海外向けのモバイルコンテンツ事業が前期の51倍となる218億2200万円になり、業績を牽引した(グラフ1)。また、マルチユースコンテンツと呼ぶ、VOD(ビデオオンデマンド)事業も同35.6%増の92億1000万円に伸びた。一方でこれまで同社の主力事業であった国内向けのモバイルコンテンツは同19.0%の87億1600円と、成長率が鈍化している。
グラフ1:コンテンツ事業の売上高の推移 |
海外向けモバイルコンテンツ事業が大幅に伸びたことで、全体の売上高に占めるコンテンツ事業の割合は、前期の37%から54%へと拡大した。
ソリューション事業は非接触ICチップのFeliCa関連ソリューションなどの大型案件を受注したことに加えて、レオパレスやOCN向けのVOD用セットトップボックス(STB)が好調であることなどから、売上高は前期比45.7%増となった。「携帯電話メーカーなどからも受注している」(インデックス代表取締役会長の落合正美氏)という。ただし、「体制の不備もあり、膨大な受注に対して一部業務処理の遅れが生じた」(代表取締役社長の小川善美氏)ため、当初の計画には約40億円届かなかった。
一方で営業利益をみると、コンテンツ事業は前期に比べてわずか8.4%増の28億4100万円で、当初計画には約30億円届かなかった。だった。上場申請を予定している子会社のコンテンツ償却をすすめたことが主な要因という。これに対してソリューション事業は利益率の高い案件に集中したことから、前期比約9倍の47億1800万円となり、当初計画を約9億円上回った。全体では前期に比べて89.3%増となったものの、計画値を約17億円下回った(表2)。
表2:2005年8月期の業績と計画値の差異
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5月に在京民放キー局や出版社など7社に対して第三者割当増資をしたことで、自己資本比率は15.4%から42.5%にまで改善している。
2006年8月期は新たに携帯電話を使った広告・販売促進ビジネスに参入し、ソリューション事業を伸ばす方針だ。ポイントプログラムなど、実店舗との連携を強化する。また、携帯電話向けのデジタル放送「ワンセグ」が2006年4月から始まることを見据え、放送局のモバイルコンテンツ向けソリューションに注力する。
ソリューション事業の売上高は前期比101.8%増の360億円となる計画で、全体の売上高は同42.6%増の1050億円を目指す。営業利益は同62.4%増の110億円となる見込みだ(表3)。
放送局とインターネット企業の提携に関しては、楽天がTBSに経営統合を申し入れたことが注目を集めている(関連記事)。この問題について聞かれた落合氏は、「まずいやり方だ」とコメント。「放送局は決して保守的ではない。株式の話から入ると、進む話も進まなくなってしまう。早い事業シナジーを求めるならば、できる協業から入るべきだったのではないか」と苦言を呈した。
表3:2006年8月期業績予想
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