Excite.comを創業したJoe Krausも、Google幹部がスケールの大きな構想を思い描いている可能性があるとの点に同意する。ただし、同氏は「(Googleが何をしようとしているのか)皆目見当が付かない」と述べている。
「Googleは5年も前からダークファイバーを買い続けてきているが、これらを利用すれば同社のデータセンター間のコミュニケーションを非常に安価に済ませることができる」と現在JotSpotのCEOを務めるKrausは言う。
「Googleの中核能力が、何千ものアプリケーションをホストし、ユーザーのデスクトップに代わる環境をネット上に構築できることにあるとの考えを、大勢の人間が口にしている。彼らが新しい製品を立ち上げる際に、この能力を活用することは間違いない」(Kraus)
Googleはまた、電灯線を利用したブロードバンドサービスを提供するCurrent Communications Groupにも投資を行っており、さらに衛星写真を利用した「Google Earth」の関連から同社が衛星通信を視野に入れているとの噂も流れている。
同社は、Current Communicationsへの投資を発表した際に、自社の企業ミッションの1つとして「ユーザーのためにインターネットへのユニバーサルアクセスを推進する」ことを挙げていたと、Search Engine Watch編集者のDanny Sullivanは言う。「同社は、確実に誰でもネットが使えるようにする必要があると考えているようだ。自前のネットワークを運営すれば、この目標もはるかに実現しやすくなる」(Sullivan)
Googleは今週に入って、「Google Secure Access」のベータ版をひそかに公開した。同社サイトからダウンロードできるこのソフトウェアを使えば、Wi-Fiネットワークを使いながら、安全に、暗号化されたデータをインターネットでやりとりできる。このプログラムは、サンフランシスコ/ベイエリア にあるいくつかのGoogleのWi-Fiホットスポットで利用できると同社は述べている。
同社はまた、今年はじめから、Feevaというサンフランシスコの企業と組んで、Wi-Fiアクセス関連の取り組みを進めている。これは、Feeva広報担当のKeith Kamisugiが米国時間20日に認めたものだが、ただし同氏は、FeevaとGoogleが無料で利用できるWi-Fiホットスポットをサンフランシスコのダウンタウンにあるユニオンスクウェア周辺で運営していると述べただけで、提携の詳細は明らかにしなかった。このWi-Fiホットスポットでは、利用者がネットワークに接続すると、まずGoogle Searchのスプラッシュページが表示されるようになっていると、Kamisugiは説明した。
Google広報担当のNate TylerはReutersに対し、同社が本社近くにあるピザパーラーとフィットネスクラブで、「Google Wi-Fi」という無料で使える無線ISPサービスの限定的なテストを行っていると述べた。
さらにGoogleは先ごろ、携帯通信関連のソフトウェアを開発するAndroidという新興企業を買収している。また、同社は「グローバル・バックボーン・ネットワーク」構築の一環として、ダークファイバーに関する契約交渉のために、光ファイバー関連のインフラ戦略担当者を募集していた。
インターネットへのアクセスを提供することは、Googleにとって潜在ユーザーの掘り起こしにつながるものだが、そのほかにも消費者に広告--特に、ワイヤレスユーザーに対してロケーションベースの広告を配信する新たな方法を同社にもたらすことになる。
Googleにこの記事に対するコメントを求める電子メールを送ったが、同社からの回答は得られなかった。
一部の人々の間では、Googleがダークファイバーを利用して、全米を網羅する巨大なネットワークを構築しようとしているとの憶測が流れている。このネットワークは、MCIやAT&Tといった大手通信会社が運営する最大級のインターネットバックボーンに比肩する規模になるという。これらの噂話では、Googleがこのネットワークを利用して全米各地にある同社のデータセンター間でデータをやりとりし、さらにワイヤレスネットワークを各地のエンドユーザーにコンテンツを配信することになる、と言われている。
音声とビデオ
Googleの狙いがVoIP通信にあるとするアナリストも複数存在する。
Infonetics ResearchのMichael Howardは、「トラフィックがインターネット上を流れるときに通過するルータの数については見当もつかないだろうが、この数が通話の品質に影響を与えることがある。しかし、トラフィックが自前のネットワークを流れる場合は、その品質はコントロールできる。このことは、ネットワークを構築する十分な理由になる」と述べている。
もう1つの可能性はビデオ配信だ。Googleは、一般ユーザーから集めたビデオを無償でホストし、誰でもダウンロードして観られるようにしている。さらに同社は、これらのビデオのインデックスをつくり、検索できるようにしている。
ABI ResearchのVamsi Sistla(ブロードバンドおよびデジタルホーム/メディア担当ディレクター)は、「彼らがビデオ配信に何らかの形で関与してくることは明らかだ。ただし、どのような形になるのかは依然として謎のままだ」と語っている。
一方、幅広い帯域幅を必要とするほかの大企業と同じように、Googleが純粋にコスト削減を目的として、自前のネットワークを構築する可能性も考えられる。
「Googleも、自社データセンターの運営などのために、どこかに膨大な金額を支払っているはずだ。したがって、データセンター接続のために自前のネットワークを構築することは完全に理にかなっている」(Howard)
GartnerのAllen Weinerは、Googleはいずれ「Googleフォン」を開発することになるという予測を示し、アプリケーション配信プラットフォームになることは「(Googleの)知的財産を追求するDNAに組み込まれている」と話す。
「ビデオやポッドキャストなど、あらゆる種類のコンテンツをアップロードできるホスティングプラットフォームを構築すれば、それらのコンテンツをGoogleで検索できるようになり、Googleの利益にもつながる・・・このプラットフォームの構築にはコストもかかるが、検索機能という長所を持つ彼らならできないことではない。Googleが『何でもホスティングするからリンクしてください』と言えば、ものすごいことになる」(Weiner)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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