2004年の米国大統領選挙ではブログを中心にネットで選挙に関する意見や情報がさかんにやりとりされた(関連記事)。今回の衆議院議員選挙は日本でブログが普及してから初めての選挙といえ、すでに多くのサイトで選挙関連のコンテンツが公開されている(関連記事)。
こうした流れを受けて、自由民主党は8月25日にブロガーやメールマガジン発行者を招待して、武部勤幹事長と世耕弘成広報本部長代理による「メルマガ/ブログ作者と党幹部との懇談会」を開催した。
自民党ではスタッフが独自に選んだ有名ブロガーやメールマガジン発行者100人を懇親会へ招待した。そのうち、実際には12のブログと17のメールマガジンから33人が集まった。参加者の中には、はてなの社長である近藤淳也氏やネットエイジの社長である西川潔氏、グロービスの代表である堀義人氏などがいた。懇談会自体に報道関係者は参加できなかったが、その内容は懇談会が終了したあとに、世耕広報本部長代理によって説明された。
「これからは『マスコミ』から『クチコミ』の時代」とウェブメディア重視の姿勢を述べた自民党の武部勤幹事長 |
武部勤幹事長は「総選挙に向けた国民の声の勢いや力強さには圧倒されている。これからは『マスコミ』から『クチコミ』の時代。ブロガーやメールマガジンを運営する皆さんと連携しながら政治をわかりやすくしていきたい」と参加者に語った。
懇談会では参加者から「インターネットでは(公職選挙法により)選挙に関する意見の発表や活動が制限されるので、もっと幅を広げてほしい」といった意見がでており、それに対して世耕広報本部長代理は「現在、選挙期間中(公示日から投票日)は選挙に関わるサイトの更新を禁じているが、4年前までは選挙期間中のサイト公開すら禁じられていた。その公職選挙法を変えたのは自民党だ。党内にもそういう問題意識を持っている人が多いので、法律の改正に向けて善処する」と、今後選挙におけるネット利用の幅を広げることを示唆した。
また、「郵政民営化に反対する議員への対応はどうするのか」といった意見には武部幹事長が「解党の危機にまでなりかけ、厳しい対応をした」と回答した。他にも「国会や党内での会議についても公開してほしい」「マニフェストよりさらに政治理念をわかりやすく公開してほしい」といった意見などが参加者から挙がった。
会場には33名のブロガーおよびメールマガジン作者が集まった |
米国ではブロガーが一般のジャーナリスト同様に発表会やプレスミーティングに参加することが増えているが、世耕弘成広報本部長代理は「日本では、まずは懇親会という形から始めていきたい」と述べ、今後も今回と同様の懇談会を開催する予定だという。
すでに参加者のブログなどではさまざまな感想が述べられている。はてなの近藤氏は自身のブログ「jkondoの日記」で「質疑応答の内容はそれほど斬新なものでは無かったように思いますが、想像していた以上にインターネット上の技術動向や各種取り組みなどを積極的に吸収され、新しい仕組みを情報公開に活かそうとされている点が印象的でした」と述べた。また、「GripBlog」を運営する泉あい氏は「本気でインターネットを意識していて、有権者の生の声を聞きたいと思うのなら、あえて自民党に批判的な意見を書いているブロガーを招待して、議論するべきではないかと思います」と述べている。開催側の世耕広報本部長代理も自身のブログ「世耕日記」で「政党とブロガーの対話は日本ではじめての企画であり、武部さんとブロガーの皆さんの波長が合うだろうか等心配事も多かったが、非常に実りある懇談であった」と感想を述べている。
参加者のブログおよびメルマガは以下のとおり。
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