デジタル音楽市場を独占するApple Computerの勢いは弱まりそうもないが、そんななかでMicrosoftのXbox担当幹部が、同社の音楽戦略見直しに力を貸そうとしている。
ただし、Microsoftが正式な人事異動を行ったわけではなく、この幹部もまもなく登場するXbox 360の立ち上げに関わる任務をあきらめてはいない。しかし、同社シニアバイスプレジデントのRobbie Bachは、同社の音楽業界における立場を引き上げるための方法をこれまで以上に詳しく検討し始めている。Microsoftに16年間在籍するBachは、同社が最も大きな成功をおさめたいくつかのプロジェクトに関わってきた。
Wall Street Journalで最初に報じられたように、Microsoft CEOのSteve Ballmerは、Bachに同社のデジタル音楽戦略見直しを要請したという。この分野は現在、社内でも複数の事業部に分かれ、パートナー企業も多種多様で、Windows関連製品同士でも互換性のない場合が多い。
同社は、BachがXboxの発売に関する仕事をないがしろにしているわけではなく、今後は各事業部のメンバーが参加する家電製品作業グループを共同でまとめるのが、同氏の主な役割になると説明している。
Microsoftの広報担当、Tom Pillaは、「Xboxのビジネスを考え、そこにどのように音楽が絡んでくるのかを考えれば、Robbieに対応してもらうのが自然だと思う。経営陣がそのような判断を実際に下しているのだ」と述べている。
Microsoftはここ数年、Appleが独占するデジタル音楽市場に食い込もうと悪戦苦闘を続けているいる。AppleはまずiPodを投入し、次にiTunes Music Storeを開設して、たいした努力もせずに現在の地位を築いた。
Microsoftの音楽関連の戦略は、一般消費者にデジタル音楽プレイヤーやサービスを販売する多数の法人顧客に対し、メディアソフトウェアや違法コピー防止技術を提供するというもので、これまではこの戦略がきちんと機能してきた。
しかし、これらのパートナー各社がデジタル音楽業界でAppleの立場を揺るがすことができずにいるため、Microsoftは自社の役割を拡大しようとしている。昨年秋には、同社はAppleのiTunesとの直接対決を目指し、「MSN Music」というデジタル音楽販売サービスを独自に立ち上げた。これは、その延長線上でWindows Mediaベースの音楽配信サービスを展開するNapsterやVirginなどの顧客との対決も意味するものだった。
Microsoftは、今年中にサブスクリプション形式の音楽サービスを独自に立ち上げる計画だが、これにより同社の技術を採用している他のデジタル音楽配信サービスとのデリケートな関係は、さらに複雑化すると見られている。
BachやMicrosoft全体が、今後Appleへのキャッチアップを図るうえで苦労することになると、複数のアナリストが指摘している。Microsoftはすでに、得てして互換性を欠くことも多い膨大な数のオプションを簡素化する方向で動き出しており、その一環として「Plays for Sure」という音楽プレイヤー向けのロゴを導入している。また、さらに選択肢を減らすことも有効だと一部の人間は指摘している。
しかし、同社にとっては、iPodを出し抜こうとする代わりに別のプラットフォームに焦点を絞り込むことが、実は最良の戦略だとするアナリストもいる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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