マイクロソフト、電子IDカードでドイツ政府と連携

文:Elinor Mills(CNET News) 翻訳校正:湯本牧子、高森郁哉2010年03月03日 13時24分

 サンフランシスコ発--Microsoftは米国時間3月2日、「RSA Conference 2010」で新たなID管理ソフトウェアをリリースした。また、同社は、ドイツにおいてプロトタイプの国民IDカードシステムに取り組んでいることも明らかにした。このシステムは消費者に対し、特定の組織と共有する個人データの量を制御する権限を与えるよう設計されている。

 ドイツ国民は、新たな電子カードを2010年11月から使用することになり、Microsoftの技術を採用するこのプロトタイププロジェクトは同時期に開始される試験プロジェクトのために開発されていると、同社の「信頼できるコンピューティング」担当コーポレートバイスプレジデントを務めるScott Charney氏は基調講演で述べた。

 Charney氏によると、Microsoftは、同社の「U-Prove」技術および「Active Directory」サービスと、ドイツ政府の次世代電子IDカードシステムを統合する相互運用性プロトタイププロジェクトにおいて、ベルリンのFraunhofer Institute for Open Communication Systemと協力しているという。

 このシステムにより、ドイツ国民はたとえば、1枚のカードを使用して、大学に対しては入学資格の照合に必要なデータのみを提供し、投票などの際には別の機関に住民登録情報のみを提供する、といったことが可能になる。

 Charney氏によると、クラウドサービスに向かうこの動きにより、政府当局は1つの場所にアクセスして個人情報を入手することが容易になるが、消費者には各自のデータの種類に応じてアクセスをコントロールする能力を付与することで、政府や広告主らが必要以上の個人データにアクセスすることを防ぐのに役立つという。

 「われわれがクラウドに移行するにつれて、こうした状況が増えるだろう。あらゆる組織がクラウドにアクセスすることになる。政府や訴訟当事者は、一度も市民に接触することなく、クラウドにアクセスして個人のデータを入手できる。問題は、クラウドが適切な場所になるのか、ということだ」(Charney氏)。ID管理ソリューションは、権力の一部を消費者の手に戻すことができる、と同氏は述べた。

 「個人は、公開する情報の量を制限できるため、個人情報を必要以上に明かすことなく、手続きを実行できる。クラウドは、個人と国家の間における力の均衡を変える能力を持つものだ」(Charney氏)

 一方、Microsoftは同日、企業が組織内で従業員などの管理に使用できるシステム「Forefront Identity Manager(FIM)2010」をリリースした。同社はまた、「Microsoft Open Specification Promise」の下で「U-Prove Cryptographic Specification V1.0」の中核部分を公開するとともに、オープンソースソフトウェア開発キット(SDK)のC#版およびJava版をリリースした。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ

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