ボストン発--Adobe SystemsのチーフソフトウェアアーキテクトであるKevin Lynch氏は、開発者やデザイナーがメディアリッチなウェブサイトを高速に動作可能にするためのツールを披露した。
Lynch氏は米国時間9月19日、Adobe開催のFlashForwardカンファレンスにおいて、Flash Playerの次期版(開発コード名:Astro)には、ビデオリッチなウェブアプリケーションの制作者のために「大幅なパフォーマンスの改善」がなされる予定だと発表した。同氏はまた、Flash開発者を対象とした同カンファレンスの基調プレゼンテーションで、3次元画像に対する操作性も改善されると語った。
Lynch氏は講演後、Astroのリリース日については言明を避けたが、10月にシカゴで開催されるMaxカンファレンスでは詳細を明らかにする予定だと述べた。
「Flash Player 9」(開発コード名:Movierstar)の最新アップデートも今後数週間で発表される予定となっている。このアップデートでは、High Definition(高解像度)レベルの動画を再生 可能な動画圧縮標準規格「H.264」がサポートされる。
「われわれは動画のワークフロー全体に注力している。今後も投資と技術革新を続けていく」(Lynch氏)
Adobeがウェブアプリケーションのパフォーマンスの改善を計画している方法の1つとして、Flex開発ツールの次期版に搭載されるキャッシュメカニズムの導入がある。Adobeは現在、このツールのオープンソース化を進めている。
「Flex 3」(開発コード名:Moxie)は、ユーザーがFlexアプリケーションに最初にアクセスしたときに、Flexアプリケーションを実行するのに必要なファイルをブラウザのキャッシュにダウンロードするフレームワークキャッシュを搭載する予定となっている。このキャッシュされたコンポーネントは、その他のFlexアプリケーションでも再利用できる。これは、ダウンロードが高速化し、開発者がActionScript(FlexにおけるJavaScriptと互換性のある言語)を使用して、より大がかりなウェブアプリケーションを開発できることを意味するとAdobeの幹部は述べる。
Lynch氏は、Flexで開発されAIR(Adobe Integrated Runtime)で実行可能な複数のアプリケーションを披露した。AIRはWindowsを搭載したPC、Mac、そして最終的にはLinuxやモバイル機器でウェブアプリケーションを実行するためにダウンロードされる実行環境である。
今回披露された新しいAIRアプリケーションの一部は、まだ一般に公開されていない。ユーザーがFlashアプリケーションに期待するようなアニメーションを備えた滑らかなドローイングアプリケーションである「Art Musheen」(ウェブサイトもまだ準備されていない)というアプリケーションもまだ利用できない。
Lynch氏が披露したもう1つのアプリケーションが、まだベータ版の「Digimix」である。このアプリケーションもアニメーション機能を装備し、ユーザーはオーディオの断片をエディタにドラッグ&ドロップすることができる。
AdobeはMaxカンファレンスでAIRの2番目のベータ版を公開する予定。
Lynch氏によると、ベータ版には最終版のAPIが搭載され、ローカルのファイルシステムアーキテクトとネットワーク接続へのアクセス機能、ユーザーに通知を送信する機能、ローカルストレージ、自動更新、ドラッグ&ドロップ機能が含まれる予定だという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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