産業界の脚光を浴びるLAMP
7月にリリースが予定されているActiveGridの「Application Server」ソフトウェアは、LAMPソフトウェアが稼働する複数のサーバを統合し、負荷の大きいコンピューティング処理を行うよう設計されている。同社はまた、近くローエンド製品をリリースし、大企業ユーザーを想定した機能的なサーバの利用料を徴収していく意向だという。
一方Covalentは、Apacheウェブサーバの大規模な導入を行うための管理ツールを開発している。これに対しては、SourceLabs、Optaros、SpikeSourceといったベンダーが、企業ユーザーにサポートおよびアプリケーション開発サービスを提供しようとしている。
また、一部のパッケージアプリケーション企業は、Microsoft .NETおよびJavaに対抗する目的で、LAMPに似たオープンソース製品を取り込もうともくろんでいる。
2005年に入ってオープンソース販売アプリケーションをリリースしたSugarCRMも、LAMPスタックを利用してプログラムを開発し、同社の製品に搭載している。
そのほかには、独立系ソフトウェアベンダーであるJournyxが、Javaではなくオープンソースコンポーネントを用いて、ウェブベースのタイムシートアプリケーションを開発することを決めた。同アプリケーションの開発に当たったエンジニアによると、同社では、Python、Linux、ApacheおよびオープンソースデータベースPostgreSQLを使用したという。
自由に利用できるソフトウェアを組み合わせることで、製品をユーザーに無料で提供することが可能になり、ひいては会社の知名度も上がるはずだと、Journyxの創業者でCEOのCurt Finchは自信をのぞかせた。同氏は、作業をJavaより速く進められるとして、Pythonを評価している。
「Javaは古い型の言語で、それほど優れたものだとは考えていない。IBMの『WebSphere』やBEA Systemsの『WebLogic』を稼働させるのに、いったいいくら投資しなければならないか、考えてみてほしい。Javaは、開発資金を際限なく引き出す存在なのだ」(Finch)
LAMPベンダーは、サードパーティのパッケージアプリケーションやツールなどが提供されるようになれば、企業顧客がオープンソーススタックをもっと頻繁に利用するようになるのではないかと主張する。また、LAMPの採用を支援することで、オープンソースのデータベースやアプリケーションサーバ、開発ツールを使用したいと考えるユーザーが増加するのではないかともされているのだ。
CovalentのCEOであるMark Brewerは、「ここ2年ほどで、『こんな鈍重なJ2EEアプリケーションサーバは必要ない。導入がもっと簡単で、コストの低いものはほかにないのか』と不満をもらす企業ユーザーが多くなった」と話している。
LAMPソフトウェアの構造は、より確立された.NETスタックやJ2EEスタックなどとは大きく異なる。
Microsoftは.NETやWindows関連の管理ツールをすべて自社で開発している。一方、Javaの場合は正式な標準化団体を通じて開発が進められており、ここにはIBMやSun Microsystems、Oracle、BEAといった大手ベンダーから多くの追加項目が寄せられている。
これに対して、LAMPの各ソフトウェアにはこれと言った監督機関があるわけではない。その結果、業界標準に準ずる傾向が強いオープンソースの各種コンポーネントも、複数のツールを組み合わせようとした場合、必ずしもうまく動くとは限らない。
LAMP関連市場では、さまざまな組織が自律的に動くため、顧客が特定のベンダーに囲い込まれることはないと、関連ベンダー各社は述べている。
「.NETやJ2EEの世界では、最上位に君臨する1つの組織が決定を下している。良い決定が下される場合もあれば、そうでない場合もある」とMySQLのCEO、Marten Mickosは言う。「それに対し、LAMPには進化する力が備わっている。その結果、LAMPの世界では最高のコンポーネントだけが生き残る。これはソフトウェアに関する哲学の違いだ」(Mickos)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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