予算に敏感な企業の間でオープンソースソフトの人気が高まっているが、いまこの波が新たな分野--インフラソフト市場にも押し寄せ始めている。利益率の高いこの市場は、現在、Microsoftなどの業界大手企業が支配している分野だ。
データベースなど個々のオープンソースソフトはかなり普及が進んでいる。そしていま、2つのオープンソースプロジェクトがアプリケーションソフトの「スタック」を開発する取り組みを開始した。これらはいずれも、MicrosoftやIBM、Oracle、BEA Systemsといった大手メーカーから出されている商用ソフトと同じ役目を果たすソフトウェアをオープンソースで開発しようというものだ。
先ごろ、Gluecodeという企業が、Apache Software Foundation(ASF)の開発する一連のインフラツール向けに有償の技術サポートと保守サービスを提供し始めた。ASFはいくつかの最も人気の高いオープンソースソフトを開発/監督しており、このパッケージには、ポータルソフト、データベースソフト、アプリケーションサーバなどが含まれている。
また、ObjectWebという6年前に創設されたフランスの非営利コンソーシアムは、eXo Platformをリリースすると発表した。同パッケージには、ObjectWebがすでに提供している社内ウェブポータルソフトやコンテンツ管理ソフトのほか、グリッドコンピューティングソフトや企業用メッセージングソフトが含まれている。
これらの新しいソフトウェアスタックが、数十億ドル規模のバックエンドソフト市場にどの程度影響を与えるかを予想するのは時期尚早だが、商用ソフトメーカーのなかでも最も利益率の高い製品に代わるオープンソースソフト製品が増え続けていることは明らかだ。
それに加え、Apache FoundationとObjectWebでは、プロプライエタリソフトに対抗するために、ますます多くのJavaサーバソフト・コンポーネントを開発するようになっている。
調査会社Burton Groupのアナリスト、Anne Thomas Manesは、データベースからビジネスアプリケーションに至るまで、現在ほぼ全ての主要ソフトでオープンソース版が存在する点を評価するが、同時に簡単には導入できない点が問題だと指摘する。
「オープンソース技術を利用して(プロプライエタリソフトと)全く同じものを作ることができるが、しかし利用者が自ら統合作業を行わなくてはならないのが難点だ。統合された環境を作りだすためには、かなりの統合作業が必要となる」(Manes)
オープンソースソフトを採用する利点の1つはコスト削減にある。また、Microsoftなどのメーカー製商用ソフトには長期ライセンスやアップグレード権をめぐる値切り交渉が付きものだが、オープンソースならこうした手間もかからない。さらに、企業の規模拡大に合わせて追加のアプリケーションを導入することも簡単で、また必要に応じてソースコードも容易に入手できるといったメリットもある。
商用のサーバソフトスイートが、少なくとも今後しばらくは最も高度な機能を持ち続けるという点は誰もが認めるところだ。しかし、ここに挙げたオープンソースミドルウェアの開発プロジェクトを陰で支えるプログラマーや起業家らは、既存のソフトウェアメーカーと真っ向から勝負しようと考えている。
ObjectWebのエグゼクティブディレクター、Christophe Neyは、「ポータルソフトはObjectWebに欠けていた部分だ。これを新たに追加すれば、ObjectWebはプロプライエタリ製品に取って代われる完全なスタックとなる」と述べ、さらに「メンバーの本当の興味は、単なるアプリケーションサーバを越えたソフトウェアを開発することにあった」と語った。
さらに、ObjectWebでは、BPEL(Business Process Execution Language)仕様をベースにした統合ソフトやビジネスプロセス自動化ソフトなど、通常高価になりがちなソフトウェア製品を開発している、とNeyは付け加えた。
いまのところ、ObjectWebのサーバコンポーネント類に対してサポートサービスを提供する計画を発表した大手企業はない。しかし、Red Hatは今年に入り、Jonasというアプリケーションサーバ向けのサービスを提供し始めた。
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