このところ、サーバ事業に関する発表を立て続けに行っている富士通。Sun Microsystemsとは次期SPARC/Solarisサーバを共同開発することで合意し、Microsoftとは基幹IAサーバにWindows Server 2003およびLonghorn Serverを搭載すると発表している。また6月下旬には同社のUnixサーバファミリーであるPRIMEPOWERの新商品を、7月上旬にはIAサーバファミリーPRIMERGYの製品ラインアップを強化すると発表した。富士通のオープン系サーバに対する本気度が一気に表面化した格好だ。
22日に開催された富士通のサーバ事業戦略説明会で、同社の基本戦略として取締役専務の伊東千秋氏が述べたのは、「オープン化の追求」「ミッションクリティカル対応」「グローバル展開」の3つ。顧客ニーズが多様化し、変化の激しいビジネス状況に柔軟に対応するには、システムのオープン化が必須となり、ITシステムが社会インフラ化すればするほど、ミッションクリティカルなシステムが重要となる。富士通ではこの2点をカバーする事業の柱として、オープン素材でミッションクリティカルなシステムを作ることをテーマとしたTRIOLEを推進しており、ユビキタス時代のデータセンター構築において基盤の最適化を図るとしている。
富士通 取締役専務の伊東千秋氏 |
グローバル展開の意図は、「IT投資が回復基調にあっても低価格化に歯止めはかからない。成長を続けるためには、日本国内のみならずグローバルな展開が必要」(伊東氏)ということだ。現在国内におけるサーバ市場のシェアは、富士通が22%とトップだが(2003年度、IDC Japan調べ)、世界での同市場の富士通(Fujitsu Siemens Computersを含む)のシェアは6%で、IBM(32%)、Hewlett-Packard(28%)、Sun(12%)、Dell(8%)に次いで5位(2003年度、IDC調べ)。しかし、富士通が2003年度に販売したUnixサーバのうち54%は海外での販売となっており、2002年度の39%と比べると海外での販売が成長したことがよくわかる。富士通 経営執行役 サーバシステム事業本部長の山中明氏は、「国内メーカーで世界的プレゼンスがあるのは富士通だけ」と述べ、今後も海外での販売を積極的に伸ばす考えを明確にした。
2003年度の富士通のサーバ関連プロダクト事業の売上高は3656億円で、営業利益率は6%。同社は2004年度の売上高を3950億円と予測しており、2006年には同事業を売上高5000億円、営業利益率7%にまで成長させたい考えだ。
富士通では、メインフレーム、Unixサーバ、IAサーバと、3タイプの製品を用意している。IAサーバにおいては、Microsoftとの提携をはじめ、Intel、Red Hat、SuSEなどとの協業で製品開発を行い、オープン性を最大限に生かした基幹IAサーバを2005年に新規投入する。Unixサーバは、2006年にSunの製品との統合が予定されている。メインフレームについては、ユーザーの比率は下がっているものの、「メインフレームを継続して利用したいという顧客は今後も存在する」(山中氏)として、2006年には現行のメインフレームGS21の後継機を投入するという。この後継機では、オープン系サーバとの連係機能が強化される予定だ。
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