富士通とMicrosoftは28日、ミッションクリティカル領域におけるオープンプラットフォームの確立に向けたグローバルアライアンスを締結したと発表した。両社は、インテルのItaniumプロセッサをベースとした富士通の次世代基幹IAサーバの開発、MicrosoftのWindows Server 2003の保守性向上、および同社の次期OS Longhornの開発において協業する。
富士通とMicrosoftは、すでに2002年にグローバルアライアンスを結んでおり、これまでにもSI事業において共同でソリューションを提供してきた。富士通取締役専務の伊東千秋氏によると、これまでの実績は「2002年の売上が約2400億円、2003年の売上が約3500億円」(いずれの数字も富士通を通じて販売する売上高)だという。
今回の提携で両社は、よりミッションクリティカル分野のソリューションを提供するとともに、プラットフォームビジネスにおいても協業することになる。この協業による販売目標は、2007年で8000億円としている。
左から、マイクロソフト社長のマイケル・ローディング氏、Microsoft CEOのスティーブ・バルマー氏、富士通会長の秋草直之氏、同取締役専務の伊東千秋氏 |
今回の提携による具体的な取り組みとして、メインフレームクラスの高可用性を実現するため、Longhornにダイナミックパーティションと呼ばれる機能を実装するための検証を行う。ダイナミックパーティションとは、システムを停止せずにアプリケーションの利用領域を自動的に変更する機能。また、LonghornおよびWindows Server 2003に向け、システム障害の予防や原因追及などを目的としたサポートツール群の開発協力も行うという。Windows Server 2003搭載の次世代基幹IAサーバは、富士通より2005年前半にも提供される予定だという。
さらに両社は、専任技術者によるミッションクリティカル領域向けのサポート体制を構築する。このため両社は、2004年後半に共同サポートチームをMicrosoft本社のグローバルエスカレーションセンターに配置する。これにより、富士通のエンジニアはWindows Server開発部隊へのダイレクトアクセスが可能となる。このような体制を敷くのは「米国に本社を持たない企業としては富士通が初めて」(伊東氏)だという。
富士通では、Windows以外にもLinuxベースの次世代サーバに注力しようとしている。この点について伊東氏は、「富士通としてはオープンな環境を推進するという意味で、LinuxとWindowsが堅調に伸びていくだろうという考えだ」としたうえで、「どちらのシステムを選ぶかは、顧客の選択によるものだ。Linuxは1からシステムを構築するケースが多いだろう。Windowsは、顧客がすでに利用しているIT資産を生かすために選ぶ場合が多いのではないか」と述べた。
さらに富士通は、先日Sun Microsystemsと共同でSPARCプロセッサ搭載Solarisサーバを開発するという発表も行っている。同サーバとWindowsサーバの売上比率はどの程度になるかとの問いに、富士通代表取締役会長の秋草直之氏は「だいたい同じくらいになるだろう」としている。
一方のMicrosoftは、富士通以外にもNECや日立とエンタープライズサーバ分野で提携関係にあるが、MicrosoftのCEOスティーブ・バルマー氏は、「Microsoftはオープンな環境でインターオペラビリティを実現するという点において、さまざまな企業と提携している」としながらも、今回の富士通との提携は特別だと述べる。同氏は「富士通はメインフレームやミッションクリティカルシステムの構築において優れた実績がある。次世代サーバにおいても富士通のエンジニアリングは非常にユニークであり、今回の提携も特別な展開となるだろう」とした。
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