携帯電話最大手のNokiaが、Mozilla Foundationで進められている携帯電話用のブラウザ開発に資金提供を行っていたことが明らかになった。この支援により、一度はMicrosoftに打ちのめされたとされていたMozillaが息を吹き返えしている。
この契約に詳しい情報筋は先週、Nokiaが、Mozillaのオープンソースコードをベースにした携帯電話用ブラウザ開発のために、Mozillaに資金を提供したことを認めた。この結果生まれたプロジェクト「Minimo」では、すでに「プレアルファ・マイルストーン」と呼ばれる動作可能なプロトタイプの開発が済んでいる。
MozillaとNokiaは、この出資契約に関する具体的なコメントは控えたが、Nokiaの代表者は、自社が「オープンソースコミュニティで活発に活動している」と説明した。
「われわれは、MozillaやLinuxを含む、さまざまなグループと活発な話し合いを行なっている」とNokiaの広報担当Laurie Armstrongは述べている。「わが社にとって、携帯端末に適したブラウザの選択肢をいろいろと検討することは、ごく自然なことだ。Mozillaとの係わり合いも、わが社にとっては自然なステップといえる」(Armstrong)
Nokiaの関心やとその資金にも助けられて、現在、Mozillaの取り組みは全体として息を吹き返している。プロジェクトの開始から6年半になるMozillaは、これまでに3回の企業合併と多数のレイオフを経験してきた。また、ソフトウェアの品質やサイズについては、さまざまな方面から不満の声が上がっていた。しかし、現在ではプロジェクトの1つであるFirefoxブラウザに、話題と人気が集まり始めている。
ブラウザ市場に占めるMozillaブラウザのシェアはごくわずかでしかない。しかし、Firefoxはさまざまなブログやニュースグループ、コンピュータ関連のメディアなどで高い評価を受けており、すでに2つの賞まで受賞している。しかも、これらは全て、まだバージョン1.0がリリースされていない段階の話だ。
現時点での最新版はバージョン0.9で、これは先週に公開になった。バージョン1.0のリリースは当初7月になると見られていたが、現在では夏の終わりか初秋になりそうだ。
昨年7月にTime Warnerの子会社America Online(AOL)は、困難な状況にあったMozillaを非営利団体とし、200万ドルの元手で独立させていた。また、MozillaにはLotusの創業者Mitch Kaporも30万ドルの資金を提供している。
NokiaとMozillaの契約は昨年結ばれたものだが、情報筋はこれについて、Mozillaにとって資金調達の1つのモデルとなるかもしれないと述べている。Mozillaは今後、こうした開発資金をより多く集め、特定のクライアントのニーズを満たしながら、同時に開発したコードを皆が自由に利用できるようにしていきたいと考えている。同グループは今後数週間以内に、技術諮問委員会の企業メンバーを発表する予定だ。
Mozillaの技術を携帯電話用にも拡張しようとしている同グループにとっては、Nokiaが関心を示しているという事実が役に立つ可能性がある。携帯電話用ブラウザは、米国の消費者にもようやく認知されるようになったばかりの、ブラウザ市場の中でも新しいセグメントだ。ワイヤレス通信業者各社は、携帯電話からの高速インターネットアクセスを可能にする高速「3G」ネットワークの構築計画を進めている。このことから、大画面向けのウェブページを、小型スクリーンで見やすい形に簡単に表示を変更できるソフトウェアの需要が生まれている。
パソコンでのウェブ閲覧には、10人中約9人のユーザーがMicrosoftのInternet Explorer(IE)を利用している。しかし携帯電話やセットトップボックスなどのデバイスでは、支配的なブラウザはまだ現れていない。この市場では現在、Opera SoftwareやMicrosoftのPocket IEのほか、AccessやInterNiche Technologies、Fusion、NexGen Software、NetClue、Openwave Systems、QNXなどが競合している。
この競争に勝利すれば、膨大な見返りを手にすることになる。リサーチ会社IDCによると、世界全体の携帯電話の出荷は約5億台に達し、PCの売上台数1億5500万台を追い抜いたという。
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