都内にて2日間の日程で開催されている日本BEAシステムズ主催のBEA eWorld Japan 2004。同カンファレンスのメインテーマは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)だ。SOAを採用することで、企業ITの複雑さを改善し、コスト削減が可能になるという。SOAについて説明すべく、米BEA SystemsのCTOであるスコット・ディッゼン氏が基調講演に立った。
SOAは、異なるアプリケーションの統合を可能にするものだ。ディッゼン氏は、これまでアプリケーションのインテグレーションが困難だった理由として、「各アプリケーションは違った人間が違った場所で、それぞれのスケジュールにあわせて開発したものだ。他のアプリケーションとのインテグレーションを考えて作られたものではない」と述べる。ただ、ビジネス間取引でシステムを共有する場合、やはりインテグレーションは重要な課題となってくるとディッゼン氏は指摘する。
米BEA SystemsのCTO スコット・ディッゼン氏 |
インテグレーションを実現するにあたって、例えばSAPなどのアプリケーションベンダーは、すべてを同社製品で固めればインテグレーションが可能になると主張する。それは事実だが、既存のIT投資を生かすためには現実的な話ではない。そこで、すべてを固めてつなげるのではなく、個々のアプリケーションはそのまま利用し、それぞれをWebサービスでつなぐという考えが登場した。必要な部分のみを必要な時にゆるやかにつなぐことで、既存の投資を生かすことができる。この「ゆるやかにつなぐ」ということがBEAの提唱するLiquid Computingのコンセプトで、サービスを中心に考えたSOAの基となるものだといえる。
プロプライエタリなソフトウェアを提供するベンダーの考え方は、自社製品を中心としたインテグレーションを実現するというものだったが、SOAではインテグレーションの役目を担うのはXML、ひいてはWebサービスとなる。「Webサービスがエンタープライズサービスバスとして各アプリケーションを結びつける役目を果たす。レガシーやプロプライエタリなアプリケーションは、これまでのような中心的な役目を失い、サービスの一部としてエッジに置かれることになる。これにより、ビジネスサービスは協調が取れるようになる」とディッゼン氏は説明する。
「SOAにより、その場しのぎのインテグレーションは終わりを告げる。SOAは適応性と互換性を約束するものだ」(ディッゼン氏)
Webサービスのテクノロジーで現在コアとなっているのは、WSDL1.1やSOAP1.1、HTTP、SSLなど。新たなテクノロジーとして、BPEL/BPELJやWS-Policy、WS-Security、WS-Reliable Messaging、WS-Addressingなどが登場し、これらがWebサービスの発展に貢献するとディッゼン氏はいう。これらの新たなテクノロジーは、WebLogicの次期バージョンですべてサポートされる予定だ。
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