Eビジネスにおける情報交換技術の標準を策定する国際的非営利団体、OASIS。そのOASISの代表兼CEOのパトリック・ギャノン氏が来日した。同氏は5日、都内にて開催されたプレスセミナーでOASISの現状を説明した。
OASISのメンバーは、ソフトウェアベンダー、ユーザー企業、政府機関、大学・研究機関など様々で、他の標準化団体とも数多く協力関係を築いている。技術の標準化のみに注力していると思われがちなOASISだが、ギャノン氏は「技術を提供する立場にあるメンバーは全体の半分に過ぎず、ユーザー企業や大学などのメンバーが残り半数を占めている。このため、ユーザーからのインプットなどをもとに技術採用促進も行うことができ、大変バランスの取れたメンバー構成だ」と語る。他団体との協業も積極的に行っていることについてギャノン氏は、「(他団体と同じ内容で同時に標準化に取り組んでしまうといった)無駄な作業を省き、相互運用性を高めるために重要だ」と述べ、現在もISO、IEC、ITU、UN/ECEなどを含む数多くの団体と協力的な関係を結んでいると説明した。
OASIS代表兼CEO、パトリック・ギャノン氏 |
とはいえ、OASISの活動の中心はやはり技術の標準化だ。ギャノン氏は、60以上あるOASISの技術委員会のなかから、最近発足したものをいくつか紹介した。
ebSOA(Electronic Business Service Oriented Architecture)技術委員会は、ebXMLの技術アーキテクチャを拡張するとしており、ほかのebXML仕様やWebサービス技術など、ebXML技術をサービス指向のアーキテクチャ仕様に改善していくための委員会だ。今年2月に発足したこの委員会は、4月29日に第1回のミーティングを開く予定だという。
ほかにも今年3月には数々の技術委員会が発足した。SDHI(LegalXML Subscriber Data Handover Interface)技術委員会は、裁判所や捜査当局などからの法的な要求の下で提出される通信事業者やISPなどの加入者情報の体裁などを共通化するための委員会。WSRF(Web Services Resource Framework)技術委員会は、Webサービスによるステートフルリソースをモデル化し、アクセス性を確保するためのオープンフレームワークを検討する。WSN(Web Services Notification)技術委員会は、通知パターンによってWebサービス間の相互作用を標準化するというもの。DITA(Darwin Information Typing Architecture)技術委員会は、モジュラーやトピックベースの情報のXML仕様を定めるためのもの。これらの委員会は、4月下旬から5月上旬に第1回のミーティングが開催される予定だ。
ギャノン氏は、「OASISのミッションは、Eビジネスにおける新たな標準を作り出し、他の標準化団体とも協力して技術の融合と採用を進めることだ」と述べる。OASISのメンバーとなるメリットとして同氏は、技術標準化に参加できることや最新情報が手に入ること、あらゆる立場のベンダーから意見が聞けること、オープンスタンダードの方向性を明確に把握できることなどをあげた。Production Planning & Scheduling技術委員会などは日本が中心となって発足した委員会で、すでに日本からの貢献度も高まっているOASIS。ギャノン氏は「今後も各国からの積極的な参加を期待している」と述べた。
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