IT専門調査会社のIDC Japan(竹内正人社長)は3月23日、03年3月期の国内システムインテグレーション(SI)売上高ランキングを発表した。また、2002年から2007年までの国内SI市場について、年平均成長率2.4%で推移すると予測した。
今回の国内SI売上高ランキングでは、主要メーカー系ITベンダー4社(富士通、NEC、日立製作所、IBM)とNTTデータがトップを占めた。首位は、国内最大のリソースをもつ富士通で、IT・ネットワーク統合ソリューションを強化しているNECと、官公庁向け案件に支えられた日立およびNTTデータがこれに続いている。ITサービス全体で第2位となったIBMは、アウトソーシング事業へのシフトが進み、SI市場では国産系ベンダー4社の後に続いた。このトップ5社が大型SI案件の多くを押さえているため、寡占化が進行しており、SI売上規模1000億円以下となるベンダーは僅差のランキングとなった。
業種別にSI市場の勢力図を見た場合、金融ではトップ5社が僅差で首位を争っており、NRI、日本ユニシス、TISが上位に食い込んでいる。製造では、富士通が首位となり、NEC、日立、IBM、東芝が後に続いた。公共では、NTTデータが首位となり、富士通、日立、NEC、東芝の順となった。官公庁や通信向け案件では、NTTデータがプライムコントラクターとなり、複数のベンダーが参画することも多いため、競合・協業関係が交錯している。
国内SI市場の成長率については、2001年から鈍化が始まり、2002年以降は企業のシステム投資縮小または先送りの影響が顕著となった。2003年3月期は増収を確保したベンダーとマイナス成長となったベンダーとの格差が鮮明となっており、2003年9月中間期では、不採算案件の発生が目立った。
現在も、顧客からの開発単価の引き下げ要請や、ベンダー間の受注競争が激化するなど、SI市況は厳しくなっており、低コストを追求する中国などのオフショアベンダーの影響も危惧されている。さらに、各社のITサービス売上構成のうち、SI比率が圧倒的に高いことも供給過剰につながっている。
一方、アウトソーシング契約にともない、自前主義を貫いてきた大手ユーザー企業の情報システム子会社がベンダーに吸収されるケースが相次いでいるのも特徴。2004年以降、国内IT市場の緩やかな回復と企業のシステム投資の再開が期待されるものの、情報サービス産業、とくにSI関連業種において再編・淘汰が加速すると同社ではみている。
同社の柏木成美 ITサービス担当シニアマーケットアナリストは、「従来の受注開発型SIから提案型SIビジネスへのシフトを図ると同時に、アウトソーシングサービスモデルとのバランスを見直すことが重要となっている。顧客が抱える経営課題の解決を支援するテクノロジーサービスに磨きをかけ、企業の潜在需要を引き出すための業務・業界知識が付加価値の提供につながる」と分析している。
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