半導体製造装置メーカーのApplied Materialsは、今年とてつもない量のエネルギーを、半導体からパワーを引き出すことに注ぎ込もうとしている。
同社は、Black Diamondと呼ばれるLow-k技術を売り込む取り組みを開始し、半導体メーカーに対して、チップを流れる電力をうまく制御したいのであれば、この技術を採用するようにアピールしている。
Black Diamondとは、チップ上のトランジスタの下にあるレイヤー(層)のなかにある、静電容量であるkを低下させる薄い層のことである。静電容量、すなわち特定個所に蓄えられる電気の量の低下は、チップ間を結ぶ微細な銅配線のような接続点同士での混信を防ぎ、より素早く信号を送り出すことを可能にする。同技術はまた、消費電力の低減にもつながる。
「信号が線上を通過する時には、まわりから邪魔されたくはないと思うだろう」と、Appliedの絶縁体システム/モジュールグループのCTOを務めるKen MacWilliamsは説明する。
電力制御に加え、Appliedはその動作を邪魔しないBlack Diamondの層技術のメカニカルな特性にも着目している。
いくつかの企業では、すでに同技術をチップへ導入しはじめている。Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)は、同技術を130nm製造プロセスで採用しており、2003年だけで同技術を採用したウェハを1万枚出荷していると、TSMC広報担当のChuck Byersは語った。TSMCの90nmウェハーではすべて、Black Diamondを採用することになりそうだ。
TSMCはATI Technologiesなどにチップを提供しており、Appliedは世界の半導体製造設備では最大手だ。このため、同技術はかなり広範に導入が進む確率が高い。
90nmチップでもLow-k層は数多くのチップで導入されることになるが、しかし「65nmでは、これは必要不可欠になる」とMacWilliamsは説明する。多くの企業がすでに65nmチップのプロトタイプを製造しており、2005年末か2006年初頭には、製品の出荷を計画している。
電力消費量や発熱量をコントロールすることは、今日半導体設計者が直面している大きな2つの課題である。Mooreの法則により、チップは以前よりも数百万も多いトランジスタを実装するまでになっている。Intelが新しく発売したPrescottプロセッサでは、1つのチップ上に1億2500万個のトランジスタを積んでおり、他のPentium 4の5500万個という数をはるかに上回っている。Prescott上のトランジスタはまた、以前のモデルよりもよりサイズが小さく、高速である。
しかし、搭載するトランジスタの数が増えれば、それだけ電力の消費量が増えるため、これらの新しいチップは家庭で使う電球よりもたくさんの電気を食う。またサイズが小さくなれば電気のリークも増えるため、さらに電力消費量と発熱量が多くなる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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