ラスベガス発--オープンソースソフトウェアは、フリーのコードと、時に面倒を引き起こすライセンシングモデルがすべてではない。
これは、米国時間20日にComdexトレードショーで行われたオープンソース関係者のパネルディスカッションで発せられたメッセージだ。このディスカッションに参加したパネリストは、コラボレーションの価値に焦点を当て、また米SCOの起こした訴訟のような厄介な問題を無視することにほぼ成功した。
「我々はライセンシングがすべてだと考えがちだ」と、議長役のTim O'Reillyは述べた。同氏はプログラミングガイドや技術関連書籍で有名な米O'Reilly Publishingの最高経営責任者(CEO)。しかし、オープンコミュニティが達成してきたことに、いつもライセンシング要素があるとは限らない。「オープンソース開発者は、遠く隔れた者同士が共同作業を進めることに関しては、いつも先頭に立ってきた。これはとても重要なことで、ライセンスに依存するものではない」と同氏は述べた。
オープンソースのデータベース会社MySQL最高経営責任者(CEO)のMarten Mickosは、オープンスースムーブメントは、個々の開発者が協力し合うことが、企業の大規模なプロジェクトチームよりも効果的だということを証明してきた、と述べた。
「革新が大きな研究開発予算から生まれるとは思わない。オープンソース開発は、革新の本当のパワーがコラボレーションにあることを示している」(Mickos)
Apacheウェブサーバプロジェクトの共同創設者で、オープンソース開発サービス米CollabNetの技術最高責任者であるBrian Behlendorfは、オープンソースモデルは、開発者に自らの本能に従うという自由を与えることに貢献したと述べた。
米Microsoftさえ、コードを共有して、開発者間のコラボレーションを奨励することに利益があると考えていると、同社の「共有ソース」プロジェクトマネージャのJason Matusowは宣言した。Windowsソースコードの一部を選択的に公開するというような取組みは、顧客とMicrosoftに利益をもたらした、と同氏は語った。
「透明性が、相互の信頼性を高めることがわかった。これで我々がオープンソース企業になったとは思わないが・・・いずれにしろ、我々が皆、オープンソースから学んでいることは確かだ」(Matusow)
コラボレーションの価値は、コードの交換だけにとどまらないと、米Amazon.com最高技術責任者のAllan Vermuelenは付け加えた。同氏は、Amazon.comが、大部分のシステムをLinuxへ移行することで利益を得たと同時に、顧客によるレビュー、リストへの参加や他の貢献からも利益を得ていると語った。
SCOの問題は、ディスカッションの終わり頃に取り上げられた。O'Reillyや他のパネリストはSCOの要求を一蹴したが、Matusowはこれらの訴訟は少なくとも開発者が知的所有権(IP)問題について考えるきっかけになったと述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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