富士通は29日、2003年度第2四半期(7月〜9月)と中間期(4月〜9月)の連結決算を発表した。中間期の売上高は前年同期比84億円減の2兆1419億円、営業利益は前年同期より52億円増加して179億円の赤字、経常利益が前年同期比22億円減で677億円、純利益は同888億円増加し、585億円の赤字となった。
いっぽう第2四半期の業績は、売上高が前年同期比358億円増で1兆2031億円、営業利益が同141億円増の198億円、経常利益が同16億円増で126億円の赤字、純利益が722億円増で187億円の赤字と、それぞれ赤字幅が縮小している。同社が四半期単位で前年同期比増収となったのは、2001年度第1四半期以来ほぼ2年ぶりのこと。
中間期の業績をソフトウェア・サービス、プラットフォーム、電子デバイスの分野別に見ると、ソリューションとインフラサービスを含めたソフトウェア・サービスの売上高は前年同期比マイナス1%で9093億円となっている。うち国内の売上は0.8%増の6714億円とわずかに成長したが、売上全体の4分の1を占める海外での売上が5.5%減の2378億円となった。これについて同社取締役専務(CFO)の小倉正道氏は、「昨年度の欧州拠点でのビジネス売却と、円高の影響のため」としている。ソフトウェア・サービス部門では営業利益が前年同期比226億円減で288億円と大幅な減収となったが、これについては「国内でプラットフォームの新製品の売上が下期に集中すること、プロジェクトの採算性の悪化、ミドルウェアやLinux等への先行投資を積極的に行ったこと」などが原因だとしている。
富士通 取締役専務(CFO)の小倉正道氏 | |
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サーバ関連、ネットワーク、伝送システム、パソコンや携帯電話、HDD関連などを含むプラットフォームの売上高は、前年同期比6%減で7238億円となった。小倉氏は、「前年に国内で大口商談のあったサーバ関連や、北米の通信バブル崩壊の影響が引き続き残っている伝送システムは、それぞれ前年同期比で20%近い減収となった」と原因を述べている。営業損失は207億円で、前年同期より100億円改善している。これは、「構造改革の効果が出たことや、コストダウンを推進したことでパソコン、HDD事業が主に改善した」(小倉氏)としている。ただし、サーバ、ネットワーク機器の売上減の影響はカバーしきれなかった。
半導体などの電子デバイスは、国内のみならずアジア、欧州においてデジタルAV機器、携帯電話、および自動車向けの半導体製品が好調だったこと、また薄型テレビの需要が本格化し、プラズマディスプレイなどディスプレイ製品の売上が好調だったこともあり、前年同期比で15.8%の増収となった。営業利益も前年同期比で218億円回復し、12億円の赤字とほぼブレークイーブンに近づいている。小倉氏は、「第1四半期は5月の宮城県沖地震で岩手工場の操業に影響が及んだが、第2四半期の増収でカバーすることができた」としている。
2003年度の通期の業績見通しは、7月に公開していたものとほぼ同じだが、売上高についてはリース事業会社の持分法への移行の影響で4兆7500億円と500億円の減額となる。営業利益は、「ソフト・サービスの採算性が悪化して、この分野は年初の計画に届かないが、これをプラットフォームと電子デバイスの成長でカバーする」(小倉氏)としており、通期見通しは年初の計画通り1500億円。経常利益、純利益も計画通りで、それぞれ600億円、300億円としている。なお、28日に発表したファナック株式の売却については、「売却額が未定のため、この数字には含まれていない」(小倉氏)とのことだ。
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