日本IBMは5日、同社のLotusメッセージング製品のLinux対応と、企業ポータル構築用ソフトウェアWebSphere Portalの最新版、V5.0を発表した。IBMでは、ポータル製品とLotusを統合ソリューションとして提供していく方針で、本日発表されたものは「ユーザーのヒューマンインテグレーション部分」(日本IBM常務執行委員ソフトウェア事業担当、堀田一芙氏)だという。
Linux人気を受けて
堀田氏はここ1年間の変化として、e-Japan構想が進んだこともあり、オープンソース、特にLinuxへの関心が高まったことを実感していると述べた。これを受けての開発となったのが、LotusのウェブメールクライアントであるLotus iNotes Web Accessと、eServer zSeries上で稼動するLotus DominoのLinux対応版だ。堀田氏は、ミック経済研究所の調査を元に、Lotus Notes/Dominoが日本のグループウェア・コラボレーション市場において55.1%と圧倒的なシェアを握っていることを示し、「バージョンアップをするのならLinux対応を、といった顧客の声が多かったことで、本日の発表に至った」という。Lotus iNotes Web AccessとLotus DominoのLinux対応版は、Lotus Notes/Domino 6.5の製品群の一部として第4四半期に発売開始される予定だ。
Linux対応の強化を発表したIBMだが、ほかにもLotusの新戦略として同社ではLotus Workplaceという製品を今後提供していく予定。日本IBMソフトウェア事業ロータス事業部長の神戸利文氏は、「Lotus Workplaceは、Lotusがこれまで提供してきたコラボレーション機能をJ2EEに拡張し、ポータルとともに提供するもの」だと説明する。これは、現在のNotes/Dominoユーザーへマイグレーションを薦めるものではなく、「今後J2EEベースのコラボレーション機能が必要となった際、Notes/Dominoの技術者がJ2EEの世界にスムーズに入っていける環境を提供するもの」だという。
ポータル市場の開花も間近
日本IBM常務執行委員ソフトウェア事業担当、堀田一芙氏 | |
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Linuxへの関心の高まりに加え、堀田氏が最近の変化として感じたのは、ポータルへの注目が集まりつつあることだという。「縦割り文化の日本では、横から全体を見るような考え方であるポータルの普及が遅れていたが、いよいよこのマーケットが発展する時が来たのではないか」と堀田氏はいう。
本日同時に発表されたWebSphere Portal V5.0は、企業内アプリケーションや業務プロセスなどを統合するEIP(Enterprise Information Portal)製品の最新版だ。9月29日より出荷予定の同製品には、管理者がユーザーのアクセス制御をウェブ上で設定できる機能や、バックエンドアプリケーションと容易に統合できる機能、テキスト文書やスプレッドシートなどの表示・編集がポータル上で可能となるプロダクティビティツールなどが新しく追加されている。また今回のバージョンには、個人単位ではなく役割単位でアクセス権限などが管理できる機能も含まれており、「これは日本のユーザーからの声がじかに反映された新機能だ」と神戸氏は説明する。
IBMでは、ビジネスパートナーが既存のアプリケーションパッケージをWebSphere Portalに統合・開発できるよう推進する、「WebSphere Portalコンソーシアム」を設立することも発表している。同コンソーシアムでは、システム構築における技術情報の交換やポータル構築のノウハウを共有し、市場活性化を目指すのだという。IBM以外の設立メンバーは、アイ・ティ・フロンティア、大塚商会、日本情報通信、ライトウェル。テクノ・システム・リサーチ社の今年5月の資料によると、現在金額ベースでは国内EIP市場でトップシェアを握るWebSphere Portalだが、「台数ベースでは課題があると思っている。これまでおもに大手を対象としてポータルソリューションを提供してきたが、コンソーシアムの設立により、中堅企業にも利用を薦めたい」(堀田氏)としている。
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