米IBM、米コロンビア大学、米ニューオリンズ大学が、数千個単位の分子を自己集合させる手法を発見した。IBMは1990年初頭に、走査プローブ顕微鏡を使って、一連の分子を整列させて「IBM」の文字を書くことに成功しているが、今回は「2次元ではなく3次元構造を形成した」(IBM)。
IBMは両大学との共同研究で、光学的特性を持つ半導体のセレン化鉛と、磁性材料の酸化鉄を組み合わせて、電気的特性、光学的特性、さらには磁気特性を有する巨大結晶を生成する環境を作り上げた。
同実験に関する論文は、科学雑誌Natureの今週号に掲載される予定だ。
IBMの研究部門IBM Researchで、ナノスケール物質/デバイス担当マネージャーを務めるChristopher Murrayは、「たとえば数年後に、このような物質を利用して、磁界で光を制御する光学機器が生まれる可能性がある」と語っている。
実験結果もさることながら、材料を組み合わせる手段も重要だ。「メタマテリアル」と呼ばれるこれらの物質は、数万個の原子で構成されており、自然界では発生しない。例えば、この実験の水晶振動子は6万3000個の原子で構成されている。また、組み合わせることで、個別の分子ではみられない特性を帯びるようになる。
「これは例えるなら、2+2が5になるようなものだ」(Murray)
メタマテリアルは、科学分野を大きく変える可能性を秘めている。研究者は、これまで長年に渡って研究が行われ、十分に解明されたと思われていた基本分子をいくつか組み合わせ、これまで知られていない特性を持った新しい物質を発見できるようになるからだ。この新しい、未開発の特性は、ナノテクノロジの発展にも大きく寄与する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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