米IBMの研究開発部門IBM Researchの科学者が、カーボンナノチューブを発光させる新たな方法を発見した。この技術的ブレークスルーは、光ファイバー技術の進歩につながる可能性がある。
また、カナダのトロント大学の科学者は、硫化鉛から成る微小結晶の「量子ドット」を組み込んだポリマーに電子を注入し、発光させることに成功したという。ポリマーは高分子から成る化合物で、プロセッサやディスプレイなどの技術研究に使用されている。
「我々の研究成果は、多数の光ファイバ通信デバイスを1チップに統合するという目的に向けた1歩となる」(トロント大学の電子・コンピュータ工学部のTed Sargent)
カーボンナノチューブは科学研究分野で大きな注目を集めている。カーボンナノチューブほどではないものの、ナノ結晶も注目の的だ。これらの素材は、特殊な電気特性、熱特性、機械特性を持っており、そのため従来チップ製造で利用されてきたシリコンおよび金属に代わる素材の候補となっている。カーボンナノチューブは、炭素原子を直径数nmのチューブ状に結合させた分子で、その直径は人間の毛髪の5万分の1未満しかない。近い将来、カーボンナノチューブは耐食塗料の開発や燃料電池・バッテリーの改良などに用いられるだろう。
IBMとトロント大学の研究成果には、その他の用途も考えられる。それは、光の生成だ。ただし、光の生成は簡単かつ安価にできるものではない。現在の光学部品は製造が難しく、そのため価格が高い。対照的に、半導体は大量生産が可能で値段も安い。
現在、複数の企業が光学技術とシリコン技術を組み合わせる方法を模索している。光電子工学と呼ばれる方法では、光信号を電気信号に変換することで、安価なシリコンを利用した信号伝送を行なう。他には、光チャネルをシリコンチップに組み込み、データの高速伝送や、エネルギー消費を削減する方法などがある。
どんなもの?: どういう仕組み?: 製品への応用例(可能性): 先頭を走る研究者: リーディングカンパニー:
ナノテク早解かり
ナノテクノロジーは100ナノメートルかそれ以下の大きさの部品から製品をつ繰り出すための科学。なお1ナノメートルは10億分の1メートル。
100ナノメートル以下になると、物質はそれ以上の大きさの時とは異なる振る舞いをはじめる。電子は静止状態から波のような動きに変わる。シリコンは電気を伝える伝導体もしくは絶縁体になる。コンポーネントが小さいほど、量子効果がはっきりとする。
カーボンナノチューブ(炭素が円柱状につながったもの)やフラーレンカーボン(炭素がサッカーボール上になったもの)が最も注目を浴びている。だが、たとえばインテルの次世代CPUプレスコットのような標準的なチップは90ナノメートルのプロセスで製造される。これもナノテクの一応用例。
Rice大学のノーベル賞科学者、IBMのRichard Smalley、HPのPhaedon Avouris。その他
Cornell、Harvard、UCLAなどでも研究が進んでいる。
Carbon Nanotechnologies (Richard Smalleyが創設) General Electric, HP, IBM, Nanosys.
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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