小さなデバイスを使って、車のタイヤから衣服まであらゆるものを追跡する技術が、小売ビジネスのあり方を変えようとしており、またそれがソフトウェアメーカーに数十億ドル規模の収益を生み出す可能性がある。
RFID(Radio Frequency Identification)技術は、商品に取り付けたマイクロチップをコンピュータネットワークを通じて追跡し、在庫の在処や状態を把握する。各チップは固有のIDコードを発信するが、このIDコードには商品の出所や所有者、所在地、有効期限、購入日など、豊富な情報を盛り込むことができる。
RFID技術により、現在は様々な労働集約型の手段を使って在庫管理を行っている小売業は、莫大な費用を削減することができる。RFIDはまた、より正確で詳細な情報を送信すると期待されている。さらに、米Wal-Martをはじめとする小売大手が、RFIDのコンセプトを採り入れることにしたため、ソフトウェアメーカーやその他のハイテク企業は、この新しい市場が生み出すはずの数十億ドルを超える収益に、いまにも喉から手が出そうな状態だ。
「ソフトウェアメーカーやハイテク企業は、間もなく水門が開かれ、非常に素晴らしいチャンスが訪れることを認識している」と、ニューヨークにあるIT調査機関Allied Business Intelligenceで調査部門のディレクターを務めるEd Rerisiは言う。
生まれて間もない技術の例に漏れず、RFIDにも広く普及する前に解決されなくてはならない問題点がある。ストレージのオーバーロードや無線周波数の混線から、プライバシーへの懸念や労働組合の反対まで、多岐に渡る問題が存在するため、それらを解決するのは決して生易しいものではない。
しかし、業界歴の長い人々は先行きを楽観視している。それは、各社が実在するビジネスニーズに応えるための技術を開発しており、ドットコムバブルの時のように憶測に基づいて製品を発明しているわけではないからだ。業界のリーダーの中には、非常に強気で、RFIDが過去3年に渡って低迷してきたITセクタを救うかもしれないという者もいる。
業界専門家の推定では、この市場は今後5年間だけでも、新しい製品およびサービスで、30億から100億ドルを生み出すという。この成長とともに、サーバやデータストレージシステム、データベースプログラム、ビジネスマネジメントソフト、コンサルティングサービス、その他のコンピュータインフラといったものへの需要が高まるだろう。
独SAPで調査部門の幹部を務めるRaymond Blanchardは、「これは、ビジネスの問題が技術によって解決される例であり、先に技術があって、それが解決すべき問題を探しているといった類の話ではない」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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