アップル幹部3氏×米CNET独占インタビュー--Macの存在意義と新型MacBook Proへの思い - (page 2)

Shara Tibken Connie Guglielmo (CNET News) 翻訳校正: 編集部2016年11月03日 07時00分

 Appleの「MacOS Sierra」で機能するこの黒いOLEDディスプレイには、変化するボタンメニュー、コントロールスライダー、ダイヤル、さらには絵文字などが、利用中のアプリにあわせて表示される。Ive氏のチームが2年以上かけて開発したという。同氏はTouch Barについて、「ディスプレイへのタッチ操作による入力と、メカニカルなキーボード」とを組み合わせる「非常に面白い方向性の始まり」だと語った。

 CNETでレビューを担当するDan Ackerman記者はTouch Barについて、Macにタッチスクリーンを追加したのではなく、それ自体がAppleなりのタッチスクリーン版Macと考えるべきだと述べている。

 Federighi氏は、「素晴らしいのは、これをまさにシステム全体で使える点だ」と語り、Safariで開いているタブや電卓、見ている動画の一連のイメージなど、コンテキストに応じたTouch Barの表示を見せてくれた。Touch Barはまた、AdobeやMicrosoftなどサードパーティーのソフトウェアとも連携する。

 「関心を持たないアプリ開発元はなかった」とFederighi氏は言い添えた。


1999年の「iBook G3」

対等な別個の存在

 全面的なタッチスクリーン化ではなくTouch Barというのは、iPadとMacBookが融合した新しいモバイル機器を望む人からすると期待外れだ。幹部たちは、そのような新デバイスが登場することはないと言い切った。それはAppleがタッチスクリーンのMacを作れないからではない。Macをタッチスクリーンにしても「特に有用」ではないとAppleが判断したからだとIve氏は言う。それに、薄く軽くなり続けるMacBook Proにおいて、タッチスクリーンは「重荷」になりかねない。

 「何か違うことをやるのは実は割と簡単で、割と早くできる。そして魅惑的だ」とIve氏。AppleはMacをタッチスクリーン化しないことを、すでに「何年も前に」決めていたのだという。「納得できるデザインの方向性があるとかなり気が楽になる。しかし」とIve氏。最終製品を損なうことなく「洗練できる方法を考え出すことができない場合、大きなアイデアが実らない可能性は残る」と語る。

 とはいえ、たとえば12インチのMacBookと、同じような装備の12.9インチの「iPad Pro」(取り外せるキーボードとスタイラス付き)とを比較した場合に、ノートブックとタブレットのどちらを選ぶべきか、なかなか決められないことはAppleも認識している。

 Cook氏も、2015年のインタビューで「もはやPCを買う理由はないのではないだろうか。いや、ほんとうに、なぜ買うのか?」と語り、iPad Proではなくパーソナルコンピュータを買う理由を問いただしている。この件に関するCNETの質問にCook氏は回答しなかった。


 MacとiPadがかち合うことについて、Appleは、タスクへのアプローチ方法が異なるので問題がないとしている。たとえば、Macのデスクトップから象徴的なメニューバーを廃止することはない。同じように、iPadにメニューバーを追加することもないだろう。「いくつかの同じ事を解決するために2通りの方法を提供し、それぞれにもう一方にはない非常に独特な機能を持たせるのは素晴らしいことだ」とSchiller氏。「別個のものにしておくことで、無理やりただひとつのモデルにしようとする場合と違い、両方について可能性を探ることができる」と語る。

 そこでAppleは、デバイスがもうひとつのデバイスに取って代わることを気にするのではなく、さまざまなデバイス間のデータ送信を容易にする「Continuity(連係)」などの特徴に注力している。たとえば、「Handoff(ハンドオフ)」では、iPadで書き始めた電子メールをMacで書き終えることができる。Macで電話に出たり、Siriの音声コマンドをコンピュータ上で使ったりもできる。

 このように考えると、Appleが2つのOSを維持している理由がわかる。macOSはマウスとキーボードで操作するように作られている。前かがみになってMacの画面にタッチするのは意味をなさないとAppleは言う。iOSを搭載するiPadは、指を使った操作が最も適しており、使いながら後ろにもたれることができる。

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