もしもAmazon.comの望みどおりに事が運んだとしたら(それは実現の可能性が低い「もしも」ではあるが)、同社は近いうちにインターネット上の新しいドメイン拡張子76件を管理するようになる。大半の業界ウォッチャーは、同社が.amazonと.kindleを申請することを予測していたが、それは序の口にすぎなかったようだ。Amazonが望むものの中には、.freeや.like、.game、.shopなどの一般的な用語も多く含まれている。
Amazonは魅力的な名称の多くを取得しようともくろんでいる。そして、もしもAmazonの望みどおりの展開になれば、この強大な力を背景にした攻撃がもたらす結果は、インターネットコマースの世界を変えてしまう可能性がある。少なくとも、Amazonという巨大企業に関連する範囲ではそう言える。Amazonが取得したいと考えている名称のリストは以下のとおりだ。非ラテン文字の名称の一部は除外されている。
過去最大の規模になろうとしているインターネット上の土地の奪い合いにおいて、Amazonが大量の取得を目指す一方で、一般の人々(個人やビジネスオーナー)はこのサイバードラマにおいて、傍観者の役割を演じる運命にある。Amazonの名称は、一般に開放されない。つまり、希望する名称を誰もが登録できる.comのようにはならない。「Chocolate.shop」を使いたくても、あきらめた方がいい。Amazonは、「.SHOPレジストリのすべてのドメインは、Amazonが所有権を持つこととなる」とはっきり言っている。
Amazonは、ドメイン名システム(DNS)を大幅に拡張するInternet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)の大規模な取り組みに参加している最も大きな組織の1つである。ICANNは、資金と専門知識を持つあらゆる人がいわゆる一般トップレベルドメイン(gTLD)の運用権に入札できるようにしており、2週間前にはどの企業や組織がどのgTLD(「文字列」とも呼ばれる)を申請しているかを公表した。
それでは、Amazonはこうしたすべての文字列で、いったい何をしたいと考えているのだろうか。同社はその申請や将来の計画について話すことを拒んだ。Amazonの望む名称のうち非常に多く(全部で30件)に競合の申請者がおり、同社がそれらの管理権を得られない可能性があることを考えると、それも当然だろう。101件のgTLDを狙っているGoogleの1社だけを見ても、申請した文字列のうち23件がAmazonと重複している。今後数カ月には、一般からの意見の募集や、競合する申請者たちが解決を目指して話し合う非公開の交渉、そして最終的に争いが解決していない名称を競り落とすICANN主催のオークションが行われる予定だ。新しいgTLDが一般に向けて使用されるのは2013年以降になる。
企業がどのような行動に出るのかを判断するためにわれわれに与えられている材料は今のところ、ICANNのウェブサイトで公開されているそれぞれのgTLDの申請書だけだ。申請者は各文字列について、10年契約での運用権をICANNから与えられた場合に何をする予定なのかを説明している(その多くは、弁護士に勧められたのだろうが、若干の解釈の余地を持たせてある)。申請者は、.comがオープンであるのと同じように、オープンなレジストリの運用を提案できる。閉鎖的に運用することも可能で、その場合はGoogleが.googや.googleで提案しているように、単一の登録者のみがそのgTLDを使用することになる。また、一定の制約を設けてgTLDを運用するという提案も可能で、その場合、実質としては閉鎖的に運用されることになる。
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