これまで、家庭の電話といえば「回線交換方式」の通話が当たり前だった。いま、安価なVoIP(Voice over IP)を利用した電話の普及で、この「当たり前」が変化を遂げつつある。ところが、この大きな期待が寄せられているVoIPに、ボトルネックが存在するという。
Jeff PulverはVoIP(Voice over IP)の旗手と称される人物だ。彼が立ち上げた新興企業の米Free World Dial-Upは、新たなVoIPプロバイダとして、インターネット電話を無償で販売し、週あたり数千人規模の顧客を獲得し続けている。しかし、その業績に喜色満面のはずのJeff Pulverは、「Free World Dial-Upはバベルの塔を生みだすのを手助けしているのでは」と危惧しているという。
Free World Dial-Upの他にも数多く存在するVoIPサービスは、料金や品質でばらつきがある。しかし、それ以上に大きな問題となるのは、「異なるVoIPサービス同士で通話ができない」ということだ。
Pulverは、「VoIPプロバイダはそれぞれが孤立した状態となっているが、相互接続に技術的な障壁があるわけではない」と語る。「VoIPプロバイダは、他社プロバイダとの接続に必要な顧客情報の共有を、過剰なまでに回避しようとしている。それぞれが要塞さながらにネットワークを運営し、別のVoIPプロバイダを受け入れようとしない」(Pulver)
このため、同氏は先例となる提携を計画しているという。Free World Dial-Upはすでに、VoIPプロバイダの米Deltathreeと契約を結んでおり、両社の利用者は相互に通話することができる。その他にも、SIP(Session Initiation Protocol)規格を採用する米Packet8などとも同様の話し合いを行っているという。ちなみに、SIPはネット電話の標準規格として普及が見込まれている。
「(異なるVoIPプロバイダ同士で)通話が行えないのは技術的な障壁ではなく、単にプロバイダのポリシーの問題だ。夏の終わりまでには、大半のVoIPプロバイダ間で通話が可能になると確信している」(Pulver)
VoIPサービスは、遠距離電話や国際電話での差額をほぼ帳消しにしてしまうほど料金が安い。さらにインターネット上での通話により、音声と電子メール、インスタントメッセージング、テレビ会議などを組み合わせた、新たなコミュニケーションの可能性が開かれることになる。すでに米Microsoftらは、これらを視野に入れた取り組みを行っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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