シスコ、今夏に新型エンタープライズルータを投入へ - (page 2)

Marguerite Reardon (CNET News.com)2004年06月11日 13時49分

 アナリストらは、Juniperが通信キャリア向けの分野で収めた成功により、企業ユーザーの間でも、ネットワーク機器ベンダーとしては異例の信頼性を得ていると指摘する。Yankee Groupによると、企業向けルータ市場で90%ものシェアを有し、ほとんど独占状態にあるCiscoを相手に、新規参入者が長く生き残るのは難しいとの懸念から、企業ユーザーは代々こうしたベンダーとの取引を避ける傾向があったという。

 「Juniperは、Ciscoにとって、この市場での最大の脅威だ」というのはCurrent Analysisのアナリスト、Joel Conover。「Juniperは、優れた高品質のソフトウェアを組み込んだサービスプロバイダ向けの製品を通して評価を得ている。このような評判を得ている企業向けルータベンダーはほかにない」(Conover)

 Ciscoは、過去10年を通じて、企業向けルータ市場で強力な敵に出会うことがほとんどなかった。同社がこの分野の製品に大きな変更を加えたことは、長年の間にほんの数回しかなく、パケットをハードウェアで高速に処理するアクセラレータモジュールや、VPNとファイアウォールのソフトウェア機能を追加しただけだ。だが同社が次世代ルータを発表することはなかった。セキュリティに対する顧客の関心が高まり、また自社のIPネットワークにVoIP機能を追加する企業が増えるなかで、ユーザーは自らが保有するルータにより多くの機能を求めるようになっていると、アナリストらは説明している。

 Ciscoの最高経営責任者(CEO)John Chambersや最高開発責任者(Chief Development Officer)のMario Mazzolaをはじめとする、同社の経営陣は先ごろ、今年の年末まで重要な製品発表を続けていくことを明らかにしたが、これは時代の変化を示す証と言える。この流れのなかで、まず最初に登場した主要製品は、先月発表されたキャリア向けルータのCRS-1だ。

 CRS-1は、5億ドルの資金を費やし、4年がかりで開発された製品だ。このルータは超ハイエンドのサービスプロバイダ向けに設計されており、そのルーティング性能は最大で秒間92テラビットにもなる。Ciscoはまた、同製品向けの新しいソフトウェアを開発した。

 だが、アナリストらは、新しい企業向けルータ製品のほうが、大々的に宣伝されたCRS-1の発表よりも、同社の経営に直接的な影響を与える可能性があると述べている。

 「Ciscoは、CRS-1の発表で、超ハイエンドのルータ市場へ参入できた」とYankee GroupのアナリストZeus Kerravalaは述べたが、「Ciscoの企業向けルータ製品は、同社のビジネスにとっての基盤である。この分野に新製品を投入するのは、むしろ市場の支配を維持するためだ」と付け加えた。

 CIBC World Marketsの証券アナリストStephen Kammanによると、ハイエンドのサービスプロバイダを対象としたCRS-1の市場は、年間でおよそ7億5000万〜8億ドル規模だという。対照的に、Cisco 1700/2600/3700といったローエンド向け製品の市場は、年間でおよそ20億〜25億ドルに上ると、同氏は指摘している。

 Kammanの推定では、Ciscoは2004年にあわせて53億ドルの売上をルータ販売から上げるという。このうち、支店や営業所向けの製品の売上は全体の約40を占めると同氏は述べている。

 「Ciscoにとっては、これは本当に健全な市場だ。同社はここから非常に大きな売上を上げており、また利益率も素晴らしい。Ciscoがこの分野でのリードを保つためには、他社よりも先行していることがとても重要になる」(Kamman)

 

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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