Broadcomは米国時間10月13日、次世代通信のチップメーカーであるBeceem Communicationsを現金約3億1600万ドルで買収する計画を発表した。Broadcomは、無線インフラ製品を製造する会社や携帯電話やコンピュータなどの家電機器のメーカーに対し、次世代無線技術の提供を開始する意向だ。
この買収により技術者の「優れたチームが加わり、次世代通信市場への参入が」速まると、Broadcomでは話している。同社はすでに、携帯電話の2Gと3G、Wi-Fi、Bluetooth、GPS、イーサネットスイッチなどの、複数のネットワーク接続技術に対応したチップを提供している。ここにさらにBeceemの次世代技術が加わることで、次世代無線技術を含むフルラインナップを機器メーカーやインフラ業者に提供可能になり、さらなる機能統合とコストの低下が期待される。
米国で「第4世代」とされる無線技術は新しい無線の進化形で、現在はLTE(Long Term Evolution)とWiMAXという2種類の主要技術を基盤としている。世界中ですでに多くの通信事業者がいずれかの技術の導入に向かっている。LTEは56カ国で132の事業者がすでに投資や導入に向けた取り組みを行っており、世界中で利用される支配的な技術になる可能性が高い。米国ではVerizon Wirelessが、大手通信事業者としては初となるLTEを展開している。同社は2010年末までに38都市で1億1000万人以上をカバーするネットワークを立ち上げるとみられている。
一方のWiMAXは、ブロードバンド接続並みのスピードを無線ネットワークにもたらすべく採用されているもう1つの技術だ。WiMAXを利用した550以上のネットワークがすでに148カ国で構築されている。Sprint NextelはClearwireとの提携を通じ、WiMAXを利用した全国的な次世代ネットワークを構築中で、米国内ではすでに55を超える都市で敷設されている。BeceemはClearwireのネットワークで使われているベイステーションに技術を提供している。
BeceemのチップはLTEとWiMAXの両技術を統合しているため、通信事業者はLTEとWiMAX、両方の方式を自社のネットワークに組み込み、利用できる。またこのチップを使えば、機器メーカーはどちらのネットワークでも使える製品を作ることもできる。LTEとWiMAXは違う技術だと考えられているが、どちらもOFDMと呼ばれる、同じ変調方式を採用している。
Broadcomでは、この買収が2011年の収益に与える影響は中立だとしている。買収は2011年第1四半期末までに完了するとみられる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」