ソニーマーケティングは9月8日、ソニーの製品を一堂に展示する特約店向け内覧会「ソニーディーラーコンベンション 2010」を開催した。参考展示として3D対応の「VAIO」や、年末導入を明らかにした電子書籍リーダーの欧州モデルなどが出品された。
ソニーマーケティングの代表取締役社長である栗田伸樹氏は、「2011年7月のアナログ停波後は急激な市場の落ち込みが考えられる。この状況をクライシスという人もいるが、アナログ停波は何年も前からわかっていたこと。これ(アナログ停波後)を予見可能な未来と認識し、クライシスにしてはいけない」と明言。地上アナログ放送停波後のビジネスプランとして「テレビビジネスのさらなる強化」、「カメラはソニー 総合戦略」、「ニュービジネス」という3つの活動方針を挙げた。
2010年度で2000万台に迫る勢いで伸びているテレビ事業は「インターネット機能にフォーカスし、新たなテレビの需要を拡大する」と話す。
栗田氏によると、世界で一番ブロードバンド環境が整っている日本は、現在普及率が70%程度。2015年には90%に達する見込みという。この環境はモバイルブロードバンドへと発展、拡充されつつあり、これが大きなビジネスチャンスになるという。
「ソニーの液晶テレビ『BRAVIA』は、現在全機種でインターネットへの接続が可能だ。ルームリンク、アプリキャスト、<ブラビア>ポストカードなどのネットサービスも提供し、ネット接続率は10%程度になっている。この接続率を2011年には30%、2015年には100%の環境をぜひ作りたい。ネット接続強化により、テレビの需要は間違いなく喚起される」とする。
接続率の向上を目指し、液晶テレビBRAVIAから、ソニーマーケティングが展開するデジタルデータの一元管理サービス「Life-X」にアクセスし、Life-Xで管理しているすべての写真やアルバムを閲覧できる、<ブラビア>ポストカードの次世代版アプリを2010年内にリリース することも明らかにした。
「昭和の時代、リビングルームはテレビを楽しむための家族団らんの場だった。21世紀は放送だけでなく、3Dやインターネットなどの新世代サービスを楽しむ情報端末のテレビを置くことで、リビングルームは家族団らんの主役に返り咲く。遠い未来ではなくて今日、明日に実現する新しいネットワークの楽しみ方を確認してほしい」とテレビの新たな可能性を示した。
カメラ事業に関しては「世界初のレンズ交換式ハイビジョンビデオカメラの導入や、5年半ぶりに金額シェアでNo.1を獲得した『Cyber-shot』、ミラーレス一眼という新ジャンルを確立した『NEX-5/3』、さらにはトランスルーセントミラー・テクノロジーを搭載した『α33/55』とソニーらしい特長あるカメラを投入している」と、商品ラインアップの豊富さを強調する。
数多くの商品を展開する中で見えてきた最近の傾向は、製品の境界線のオーバーラップ。「ハードウェア先行型の買い方に加えて、『ブログがやりたい』『たまには動画も撮影したい』など、自分のやりたことからカメラを探すニーズが増えてきた。お客様のニーズに応えるため、カテゴリをクロスオーバーする製品開発から選び方の提案まで、今までとは異なるカメラを提案していく」とし、「すべてのカメラカテゴリを網羅するソニーだからできるカメラの総合戦略でシェアNo.1を目指す」と意気込みを見せた。
3つ目の活動方針として挙げられたニュービジネスでは、電子書籍を取り上げ、対応端末を日本で年末に導入することを明らかにした。「電子書籍は2014年には1300億円の規模になると予測され、昨今はこの話題が市場を賑わせている。会場には、先日欧州で発表したリーダーと技術の参考展示をしている」とタッチパネル液晶搭載の欧州モデルを手に取り、報道陣に披露した。
直近の年末商戦に関しては「何といってもテレビ。地上デジタル放送への移行、エコポイントの終了と、かつてない需要を想定している。12月は停波前の最大の商戦期。取りこぼしのない体制でシェア20%以上を目指す」と話した。
それ以外のジャンルでは、3D化が完了したBlu-ray Discレコーダーでは30%以上のシェア、総合戦略をすすめるカメラ事業では、全体でNo.1の地位を確立し、金額ベースで総合シェア30%以上に挑戦するとした。8月には月間販売数でついにトップにたった「WALKMAN」は、シェア50%以上に挑む。また、PC「VAIO」は、シェア15%以上を目指し、参考展示された3D対応モデルを、2011年春までに導入すると明言した。
栗田氏は「アナログ停波後の2011年7月25日以降を見据え、継続的な成長を続けていくには、年末商戦の成功は絶対必要と考えている。今回の製品ラインアップでソニーの意気込みの強さを感じてほしい」と締めた。
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