市場の要請に応えつつ「人と地球にやさしい情報社会」の実現を目指すNECの研究開発

 NECは7月1日、同社中央研究所における研究開発方針を発表するとともに、同研究所が開発中の最新技術について説明を行った。

國尾武光氏 NEC執行役員常務の國尾武光氏

 NEC執行役員常務の國尾武光氏は「NECはグループビジョン2017の実現に向けた長期研究ビジョンとして、“シンバイオシス”“ディペンダブル”“エコロジー”の3つを掲げて取り組んでいる。これまでNECが推進してきた“C&C(コンピュータ&コミュニケーション)”に関しては、コンピュータはシステム化、コミュニケーションはデジタル化という形である程度はできてきた。今後は、技術主導の考え方だけではなく、人と地球にやさしい情報社会の実現という観点を盛り込み、人間の創造性や活力の増大、持続可能な社会への進展といった2つの軸で考えていく必要がある」とした。

 「中期経営計画であるV2012に向けても、8つの戦略技術パッケージの観点から貢献していく。過去は蓄積型の研究開発が重視された時代もあったが、ストックだけではなく、フローに関しても重視し、早く事業化につなげることを大切にしている」(國尾氏)

 國尾氏は、早期の事業化を目指すにあたって、外部連携とマーケット指向の重要性も強調する。「中央研究所では、R&D+M(マーケット)という考え方を用い、ニーズを知っている顧客とともに新たな価値を創造していくことを重視している。産産連携、産官学連携などの外部連携強化にも取り組んでいる。NECの研究開発者を含めて、電気系技術者および研究者は、“何でも自分でできる”との奢りがあったという反省がある。また、技術のライフサイクルが短くなり、ニーズをどう探るのかといったことに、着手が遅れていたという反省もある。顧客に手に取ってもらえるものを作ることが必要であり、そのためにはマーケット指向の発想が必要。今の需要だけを見るのではなく、先の変化を予測して取り組む。NECは、10年以上前から、EV時代が来ると想定し、かなり早い段階からラミネートセルを開発してきた経緯がある。リスクを取る研究を行うのが中央研究所であり、それをR&D+Mという観点から推進していきたい」とした。

 研究開発投資に関しては、事業に近いところに約6割。2018年度以降を目安にした将来的な投資については、約4割ぐらいだとした。

NEC研究開発のロードマップ NEC研究開発のロードマップ(画像クリックで拡大表示)

アプリに応じてクラウドのIT資源とネットワークを最適化

 今回説明されたのは、C&Cクラウド事業を支える「IT・ネットワーク統合制御技術」、パブリックセーフティ事業を支える「認識技術」、環境・エネルギー(スマートグリッド)事業を支える「情報通信技術」の3つ。主に近い将来に事業化が想定される技術だ。

 クラウド事業を支えるIT・ネットワーク統合制御技術では、「OpenFlow」技術を活用し、ユーザーがクラウドで利用するサービスやアプリケーションの種類に応じて、サーバなどのIT資源と通信経路などのネットワーク資源を最適に構成。グローバルに分散した環境において、一元的に統合制御する。

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