LINEは4月1日付で、代表取締役社長 CEOの森川亮氏と、代表取締役 COOの出澤剛氏による“2トップ”体制を発足した。森川氏は今後、外部パートナーとの提携など経営に注力し、LINEを始めとする事業は出澤氏が推進していく。これにあわせて各役員の肩書きを一新し、それぞれの役割や担当領域も明確にした。
具体的には、取締役 CGOの慎ジュンホ氏が海外展開を進め、上級執行役員 CSMOの舛田淳氏がLINEの戦略やマーケティングを担当。上級執行役員 CTOの朴イビン氏がLINE本体の開発を統括し、上級執行役員 サービス開発担当の池邉智洋氏がLINEのプラットフォーム上で展開する各種サービスの開発を統括する。
さらに、上級執行役員 コマース・メディア担当の島村武志氏が「NAVER まとめ」や「LINE NEWS」といったメディア事業を統括し、上級執行役員 法人ビジネス担当の田端信太郎氏が「LINE ビジネスコネクト」や公式スタンプなどLINEの法人利用を拡大していく。
森川氏が「正直なところ、外から見て会社の中がどうなっているのか分かりにくかった」と言うように、同社がここまで社内体制を公にしたのは初めてだ。主力サービスであるLINEが4億ユーザーを超え、社会へ与える影響や責任も大きくなっていることから、公表すべきだと判断したという。
LINEの組織改革は今に始まったことではない。当時はNHN Japanとして2012年1月にネイバージャパン、ライブドアと経営統合。さらに翌年の2013年4月に商号をNHN JapanからLINEに変更し、ゲーム事業を分社化するなど「常に変化に先行して対応してきた」(森川氏)。今回の新体制についても、2013年の秋ごろから検討していたそうだ。
では、なぜLINEは再び体制を変えたのか。それは、より現場に権限を委譲することで各領域における意思決定を早め、国内外の事業展開をさらに加速させるためだ。同社ではこれまで、社内を企画、開発、デザインなど部門ごとに分けていたという。当初はそれでも良かったが、ここ1年は新サービスも相次いで公開し、組織も大きくなってきた。そこで改めて事業ごとの小規模な組織にすることで、より迅速に判断し対応できるようにしたという。
2013年11月25日に3億ユーザーを達成し、それからわずか4カ月後の4月1日に4億ユーザーを超えたLINE。同社では2014年内の5億ユーザーを目指しているが「このままのペースで増え続ければ、夏の終わりごろには達成できるかもしれない」と舛田氏は語る。新体制によってこのスピードが早まることにも期待しているという。
新サービスも順次提供していく。4月中にはユーザーが自作スタンプを販売できる「LINE Creators Market」をオープンするほか、夏ごろには各企業が公式アカウントをカスタマイズして活用できる「LINE ビジネスコネクト」の導入事例もいくつか出てくる予定だ。4月4日に不正利用への対策を発表した、固定電話などと通話ができるIP電話サービス「LINE電話」も、先行公開したAndroid版は「非常に好調」(出澤氏)のようで、App Storeの審査を通過次第、iOS版も提供するとしている。
今回新たに代表取締役となった出澤氏は、「1人1人が責任を持ってこれまで以上に臨機応変に確実に進めていく体制になった。LINEは日本のIT企業では前人未到の領域に入っていく。スピードをさらに早めながら組織も強化することで、これからの世界戦を勝ち抜きたい」と意気込んだ。
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