Appleによると、法執行機関が同社に開示を要請する情報の「圧倒的多数」は、紛失したデバイスや盗まれたデバイスに関する問い合わせだという。
Appleは米国時間11月5日、「Report on Government Information Request」(政府による情報要請に関する報告書)を発表して、個人情報の取り扱いに関する方針を顧客に通知し、顧客のプライバシー保護のために最大限の努力をしていると断言した。同報告書は、2013年1月1日~6月30日の期間を対象としている。
Appleは報告書の中で、「そうした開示要請は、顧客が紛失した『iPhone』や盗まれたiPhoneについて警察に助けを求めたときや、法執行機関が盗難デバイスを含む積荷を回収したときに発生することが多い」と述べている。
それとは対照的に、「iTunes」や「iCloud」「Game Center」のアカウントに関連する個人情報の開示要請は「ごく一部」にすぎない、とAppleは述べた。しかし、テクノロジ業界や一般の人々の間で最も大きな懸念と激しい反感を招いているのは、そうしたアカウント情報の開示要請だ。
Appleの報告書が発表される約半年前には、米国家安全保障局(NSA)の元契約社員であるEdward Snowden氏が公開した流出文書がきっかけとなって、NSAなどの政府機関が広範なオンライン監視活動を行っているという衝撃的な事実が明らかになった。
そうした状況を受けて、Appleは「iPad」やiPhone、「Mac」などの顧客の個人情報保護方針について安心感を与えることを狙った。
Appleは報告書の中で、「当社の事業は、個人データの収集に依存していない。われわれは、当社顧客に関する個人情報の収集には全く興味がない。われわれは、『iMessage』と『FaceTime』でエンドツーエンドの暗号化を提供することで、個人的な会話の内容を保護している。個人識別が可能な方法で位置情報データや『Maps』検索、『Siri』への指示を保存することもしていない」と述べた。
デバイス情報の開示要請に国家安全保障問題関連の開示要請が含まれることは決してない、とAppleは述べた。
Appleなどのテクノロジ企業が政府による情報開示要請の実情について明らかにする内容には制限がある。米政府は、それらの企業が受け取った国家安全保障書簡について話せる内容に制限を課している。AppleやGoogle、Microsoftなどの企業はそうした制限の緩和を求めており、NSAの監視作業に関する透明性の向上を強く訴えている。
Appleは、同社が米国愛国者法(US Patriot Act)第215条に基づく命令を受けたことはなく、受けた場合は、そのような命令には異議を唱えるだろうと述べている。同条項は、NSAおよびFBIが個人の情報を収集することを可能とする権限を拡大するものだ。
政府からの情報提供依頼に関する透明性レポートは、インターネット分野に携わる大手企業にとって一般的になりつつあり、Twitter、米Yahoo、Google、Facebookなどの企業は1年もしくは半年に1度の頻度でアップデートを公開している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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