Ubuntu LinuxをサポートするCanonicalは、営業面での強化を狙って経営陣を刷新し、2010年3月1日までに創設者のMark Shuttleworth氏が最高経営者(CEO)の職を退き、代わりに最高業務執行責任者(COO)であるJane Silber氏がCEOに就任することを発表した。
Shuttleworth氏は、今後もCanonicalに残って、デスクトップLinux製品、クラウドコンピューティングへの取り組み、同社の事業に欠かせないパートナー企業との会合などに注力していく方針である。Silber氏は、約5年に及ぶCanonicalの事業を通じて同社に勤めてきたものの、今後はビジネス分野の顧客を対象にした企業向け製品に多くの時間を費やしていくことになる。
米国時間12月17日に実施された報道関係者との電話会議の席上で、Shuttleworth氏は「社内において私が強く言えるのは、Janeが営業面のみならず財務面でも業績の向上に注力してくれることに皆の期待が集まるだろうということだ。これこそ、私がCanonicalに求めていることだ」と語った。
Shuttleworth氏は、ともに商用のサポート製品とは異なる無料版が提供されているRed HatおよびNovellのSUSE Linuxに対抗する一環で、UbuntuとCanonicalを立ち上げた。Ubuntuでは、2つのバージョンは同じものになっており、より十分にテストされて、保証を受ける製品でさえ、必ずしも有料で利用する必要がないことを意味している。Canonicalは、サポートを提供するサブスクリプション版を用意し、同社のサーバOSは単にテスト開発環境向けに適した製品であるとの認識を徐々に打ち破ることに努めている。
Canonicalは現在、Linuxサーバのサポート以外にも、主に2つの分野で事業を展開している。その1つは、ネットブックのメーカー向けにOS技術を提供する企業とのパートナーシップであり、最近では新たに「Chrome OS」を開発するGoogleが含まれるようになった。もう1つは、Eucalyptus Systemsと提携して開発された、Ubuntuの新たなクラウドコンピューティング技術のサポート事業である。Eucalyptus Systemsの技術は、「Amazon EC2」および「Amazon S3」を含む「Amazon Web Service(AWS)」のオプションに対応しているものの、顧客は自社のデータセンターまたはAmazonとの提携関係内で同技術の利用が求められる。
Shuttleworth氏は、1999年に自身が経営するインターネットコンサルティング会社のThawteをVeriSignへと売却して得られた資産を基にして、Canonicalを創設するに至っており、同社の財務面では長期的な視野を持っている。
「われわれは利益を上げてはいない。しかしながら、われわれは引き続き適切な軌道に乗っていると確信している」と、Shuttleworth氏は述べた。
「これまでの5年間は長い道のりであった」と、Shuttleworth氏は語っているが、Canonicalは、他社が独自の技術を搭載または構築できるプラットフォームを提供する企業としての発展を目指しているところである。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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