「Snow Leopard」や「Windows 7」の大騒ぎの一方で、もう1つ大幅にアップデートされたOSがある。気付いていない人もいるかもしれないが、それは「Ubuntu」Linuxだ。
Ubuntuを支援しているCanonicalは米国時間10月29日、同Linuxディストリビューションの「Karmic Koala」バージョンをリリースする。このオープンソースOSのデスクトップ版とサーバ版は共に、クラウドコンピューティングに向けて大きく前進している。仕事を目の前のコンピュータからネットワークに移すというコンセプトには、確かにいくつかメリットがあるが、クラウドコンピューティングというのは最近流行の業界用語であり、Canonicalの最高経営責任者(CEO)であるMark Shuttleworth氏は、この言葉の過度な使用に対して敏感だ。
Shuttleworth氏はあるインタビューで、「わたしをいらいらさせるのは、『クラウド』という言葉が、社内ITのような本当になじみのあるようなことも含めて、インターネット接続に関係するあらゆるものを意味するようになってきたことだ」と答えている。しかし、Ubuntuについては、これは拡大解釈ではないと言ってもよいだろう。
「Ubuntu 9.10」のサーバ版に組み込まれる「Ubuntu Enterprise Cloud」は、「Eucalyptus」ソフトウェアパッケージ上で構築されたテクノロジだ。インターネットを経由して従量課金制でアクセスできるコンピューティングインフラストラクチャの集合である「Amazon Web Service(AWS)」は、今日最も重要なクラウドコンピューティングの取り組みの1つだが、EucalyptusにはAWSの機能が多く実装されているため、企業は同じサービスを使って独自の「プライベートクラウド」を構築できる。
Ubuntuのデスクトップ版では、クラウドに接続するのは「Ubuntu One」と呼ばれるサービスであり、これを使うと、複数のマシンに保存したファイルを同期したり、それらを中央サービスでバックアップしたりできる。ストレージ容量が2Gバイトまでは無料で、50Gバイトでは1カ月当たり10ドルだ。
Ubuntuソフトウェア自体は無料で、CanonicalはUbuntuサポートサービスを販売する。
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