Microsoftの主席弁護士によると、米国時間10月7日に発表された欧州委員会(EC)との一時的な合意により、同社は、規制当局の監視下にいるという状況から脱し、さらに規制当局に関心をほかに向けさせるきっかけを作れるかもしれないという。
「10年以上にわたって間違いなく議論の的となってきた問題に関して、欧州で最終決着を付けることは、われわれにとって重要なことだ」と法務担当者のBrad Smith氏はインタビューで述べた。「7日の決定は、われわれをその目標に一歩近づける重要なステップである」(Smith氏)
「Windows」へのブラウザ搭載は独占禁止法違反だとする欧州委員会(EC)の主張に対し、Microsoftは当初、大きく異なるアプローチを取った。同社は当初、単にWindows 7からブラウザを完全に取り除いて、ブラウザの入手をユーザーに任せることを提案した。同社は、このアプローチが成功する公算は低いと判断し、最終的にはこの提案を取り下げた。
まだ最終決定はしていないものの、Microsoftのこうした動きは、ECとの未解決の規制問題をすべて解決できる可能性を秘めており、規制当局は7日、これを温かく歓迎した。
最初の頃は、ブラウザの「バロットスクリーン(ユーザーがブラウザを選択できる画面)」をめぐる合意にばかり注目が集まっていたが、Microsoftは7日、製品の相互運用性をめぐる合意も発表した。Microsoftが10年間従うことを義務付けられているその取り決めの下、同社は通信プロトコルを公開し、Windowsや「Windows Server」「Office」、そのほかの高い市場シェアを誇る製品群の一部として何らかの規格を採用することに合意している。さらに、企業は5000ユーロで保証を購入し、Microsoftが取り決めを守らなかった場合に、同社に裁判所の監視を受けさせたり、違約金の支払いを求めたりすることができる。
Smith氏によると、相互運用性に関してMicrosoftが取ったアプローチの目的は、競争担当委員のNellie Kroes氏が2008年、大きな市場シェアを持つ企業の正しい振る舞い方に関するスピーチの中で略述した方法を採用することだという。
「このアプローチは、ECが支持してきたモデルを事実上履行するものだ、と実際に考えている」とSmith氏は述べた。さらに、同氏は、大きな市場シェアを持つ企業が多くあることに触れ、ほかのソフトウェア企業もこのモデルに関心を向けるべきだ、と述べた。同氏によれば、Googleは有料検索市場で78%のシェアを持ち、IBMはメインフレーム市場で100%のシェアを誇っているほか、Adobeも「Photoshop」などの一部の分野で支配的な立場にあるという。
「法律と規制に関して公平な環境を作り出すことが重要だとわれわれは考えている」とSmith氏は述べた。「大きな市場シェアを持つすべての者は、同じ規則を遵守する必要がある。これらの規則の多くは、ほかの企業や製品にも適用できる可能性が高いと思う」(Smith氏)
Smith氏によると、ECとこの時点で和解することは、Yahooとの検索提携の認可を得るMicrosoftの取り組みにも好影響を及ぼす可能性があるという。
「YahooとMicrosoftの提携に関して言えば、今回の一件が悪い影響を与えないことは確かだ」とSmith氏は述べた。「それは、必ずしも大きな違いをもたらさないだろう。われわれは、提携を進めるのに特別なステップが必要だとは感じていなかった」(Smith氏)
Microsoftは現在、Yahooとの提携にECや欧州の個々の独占禁止規制当局からの認可が必要かどうか、確認作業を進めているところである。この提携には、より多くの関連情報の提出を求めている米国の規制当局からの認可も必要である。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。 原文へ
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