フランスの広告会社Publicis Groupeは、Microsoft傘下のインターネット広告代理店Razorfishを買収することで合意した。買収総額は、現金と株式合わせて5億3000万ドルだ。
Publicis GroupeとMicrosoftが米国時間8月9日に発表した共同声明によると、Razorfishは独自のブランドによる営業を継続するほか、インターネット広告分野におけるMicrosoftの「優先業者」としての立場も維持するという。合意内容には両社の戦略的協力も含まれており、Publicis Groupeは5年間にわたってMicrosoftからディスプレイ広告と検索広告を購入することになる。
Publicis Groupeの最高経営責任者(CEO)Maurice Levy氏は、声明の中で次のように述べた。「Razorfishの買収は、デジタルコミュニケーション分野で揺るぎないトップの座を目指す当社の戦略的計画において、新たなステップとなる。(中略)この買収が完了すれば、当社の売り上げに占めるデジタルコミュニケーション分野の割合は約4分の1に達し、成長と勝利のために必要な能力が補強されるだろう」
Publicis Groupeは世界有数のメディア企業の1つで、広告ネットワークのLeo Burnett、Saatchi & Saatchi、広告メディア購入業務を手がけるStarcom MediaVest Group、ZenithOptimediaなどを傘下に抱え、総従業員数は約4万4000人にのぼる。
報道によると、Microsoftは過去数カ月間Razorfishの売却先を探しており、WPP Group、Omnicom Group、Publicis GroupeなどがRazorfishに関心を示していたという。また、Interpublic Groupと電通もMicrosoftと交渉していた。
以前はAvenue A/Razorfishという名称で知られていたRazorfishは、Microsoftの新検索エンジンBingのロゴをデザインし、その後の広報キャンペーン用のオンライン広告も制作したと言われている。同社は本拠をシアトルに置き、2000人以上の従業員を擁し、Dell、Disney、Nikeなどを顧客に持つ。
Microsoftは、2007年にaQuantiveを60億ドルで買収した際、その傘下にあったRazorfishも同時に手に入れた。aQuantiveの買収は、Microsoftにとって最大規模のものであり、メディアプランニングやビデオオンデマンド、IPテレビといった分野でより進んだ広告プロダクトおよび広告技術をサポートすることの重要性を強調した。MicrosoftにとってRazorfishの獲得は、広告サービス事業における新たな存在感を示すとともに、リッチインターネットメディア再生プラグイン「Silverlight」の普及を促進する上で、とりわけ重要だと考えられていた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ
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