Dow Jones VentureSourceが米国時間7月1日に発表した「Quarterly U.S. Liquidity Report」によると、ベンチャーキャピタル(VC)が出資する米国企業の中で、2008年第2四半期に新規株式公開(IPO)を行った企業は1社もなかったという。2003年初頭以来の悲惨な状況だ。
IPOが皆無、文字通りのゼロだ。
また、2008年第2四半期は、VCの出資を受けた米国企業の合併と買収(M&A)も低調で、成立した取引件数は前年同期比42%減だった。
2008年第2四半期には56件、合計47億ドル規模の取引が成立した。これに対し、前年同期には97件、88億ドル規模の取引が成立していた。報告によると、2008年第2四半期の取引件数は、少なくとも過去10年間で最低だという。
IPOが1件も行われず、M&Aが大幅に減少した結果、VCの出資を受けた米国企業の売却やIPOによる利益は47%減少した。
Dow Jones VentureSourceのグローバルリサーチ担当ディレクター、Jessica Canning氏は次のように述べている。「景気後退が企業支出に影響し、明らかにM&A市場にも打撃を与えている。大企業は、VCの出資を受けた企業を買収対象として探しているかもしれないが、その多くは内密に事を進めるか、交渉に入るのを控えている。こうした状況に、IPOでの成功が望み薄になっていることも加わり、買収価格に下方圧力がかかっている」
例えば、2008年3月以降、10社がIPOの申請を取り下げた。現在、まだ22社がIPOの申請を行っているが、市況の改善を待っている状態だ、とCanning氏は語る。
IPOが1件も行われない期間は、今回103日間に達しており、これは1992年以来2番目に長い。最長記録は、2002年12月18日〜2003年5月12日の145日間だ。
市場における最近の低迷にもかかわらず、ベンチャー投資家に提供された流動資産の額は、ここ数年間で幾分回復している。2005年以降のIPO件数は年間比較ベースで着実に増加している一方で、買収を通じて調達された資金の額は2002年以降前年比ベースで増加している。また、この2年間の傾向としては、IPOが堅調になるのは第4四半期だ、とCanning氏は指摘する。
2008年第2四半期に成立した取引件数のうち、73%に相当する41件がIT企業のM&Aで、取引の総額は33億ドルだった。Time Warner傘下のAOLが8億5000万ドルでソーシャルネットワーキングサイト「Bebo.com」を買収したのが、2008年第2四半期で最大の取引だ。だが、IT企業の取引の全体では、前年同期比で29%減少している。
「今は市場に翻弄されている。残念ながら、流動資産市場が2008年下半期に回復するかどうか、成り行きを見守るしかない」(Canning氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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