シリコンバレーはWeb 2.0を巡る活動拠点であることに変わりはないものの、新興企業の明るい未来には、厳しい経済事情の現実も突きつけられたこともあり、かげりが見え始めている。
Dow Jones VentureSourceは米国時間3月18日、Web 2.0関連の企業に出資しているベンチャーキャピタル(VC)の実数調査報告をリリースし、「すでに投資ブームはピークに達しているのかもしれない」と断言してみせた。
ベンチャーキャピタリストは、2007年には178の案件に13億4000万ドルを注ぎ込んでおり、この額は、2006年と比較して88%増となっている。しかしながら、FacebookがMicrosoftや他の企業から出資を受けた3億ドルを差し引いてみると、それほど大した額でもないようだ。
特にサンフランシスコのベイエリアにおいては、取引件数の成立ペースまたはVCの出資数に減少が見られている。2007年のVC取引件数は、25%増となる178件という流れにはなったものの、その大半がベイエリア以外の地域で成立したもので、ベイエリアでの取引件数は減少してしまった。
「実のところベイエリアでのWeb 2.0は、2006年の74の取引件数から、2007年は69件まで落ちており、投資金額に関しても、2006年の4億3100万ドルの出資額から3%低下した。Web 2.0セクターの真の成長は、いまやベイエリアの外側で起こっているのは明白である」と、Dow Jones VentureSourceのグローバルリサーチディレクターであるJessica Canning氏は、今回出された声明の中で語っている。
2007年中の(Facebookに次ぐ)2番目に大きな取引としては、Marc Andreessen氏が共同創設者となる、だれでも自分独自のソーシャルネットワーキングサイト(SNS)構築が行えるサービスを提供するNingが、第1投資ラウンドで出資を受けた4400万ドルが挙げられる。
ニューイングランド地域は、2007年に20件のVC取引があり、1億5800万ドル規模の投資額であったと評価されている。南カリフォルニアでは、1億1500万ドル規模の14件のVC取引があり、ニューヨークメトロ地域では、5800万ドル規模で25件が成立した。シアトル地域においては、2007年に1億4000万ドル規模で13件のVC取引があった。
中規模案件は500万ドルまで引き上げられたものの、ベンチャーキャピタリストにとっては、まだかなり安い投資である。オープンソースソフトウェアと安価なホスティングサービスを用いることで、新興企業も効率的にビジネスを立ち上げられるようになった。
とはいえ、Canning氏は、特に純粋なテクノロジ企業と比較しても、かなり資金面のリスクは低いにもかかわらず、多くのインターネット企業が、将来の広告売上げに頼る不確かなビジネスモデルしか持ち合わせていないことへの懸念を表明した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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