33の企業や非営利団体で構成されるU.S. Climate Action Partnership(USCAP)は米国時間12月3日、2050年までに温室効果ガスの排出量を90%削減すると発表した。また同団体は、今後石炭発電所を建設しないよう求めた。
しかし、この発表の唯一の問題点は、この発表自体が嘘だということだ。
Dallas Morning Newsなど報道各社が取り上げたこのニュースの出所は、環境活動家団体Rising Tide North Americaが発表した偽のプレスリリースだった。このいたずらは、インドネシアのバリで国連気候変動会議が開催されているタイミングを見計らって行われた。
このいたずらの目的は、(環境保護に向けた)大きな改革も行わず、環境に配慮しているかのように見せかけようとしているUSCAPの顔に泥を塗ることにあった。USCAPには、BP America、General Electric、Xeroxといった企業のほかに、全米野生生物連盟、天然資源防衛委員会(NRDC)、Nature Conservancyなどの団体が加盟している。
このいたずらに関与したRising Tideの活動家たちは、自分たちをGreenwash Guerillas(環境保護に配慮しているふりをしながら利益をむさぼる企業を攻撃するゲリラ)と呼んでいる。彼らは、今回のニュースが本物であるように見せかけるため、あるPR会社の偽のウェブサイトを作成し、さらにUSCAPのウェブサイトを装った別のサイトを作った。彼らは10月にも、Point Carbonカンファレンスに密かに侵入し、カーボントレード計画を批判した。
これら以外にも、ネット上で偽の情報を流すいたずらはこれまでにたびたび行われてきた。このようないたずらは、締め切りに追われる記者らにとっては悪夢だ。しかし、今回のRising Tideのいたずらに騙された記者は多くはなかった。恐らく最近、記者たちの受信箱の中には、企業の環境保護活動に関するプレスリリースが山積しているからだろう。
6月には、The Yes Menを装ったグループがカナダで開催された世界最大の石油カンファレンスで、三次元アニメーションビデオを使い、人肉を原料とするExxonの偽の新製品「Vivoleum」の発表を行った。
また1月には、国際環境保護団体GreenpeaceがApple製品をより環境にやさしい製品にするというSteve Jobs氏の公約をでっちあげた偽のビデオを制作した。この皮肉交じりの運動の目的は、記者らを騙すことなくAppleを困惑させることにある。そして、5月には本物のJobs氏が、Appleは一部の有毒化学物質の使用を段階的に廃止すると発表した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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