Bush政権は、9月に裁判所が下した裁定によって、米国人のインターネット行動ログを裁判所の承認なしで入手する権限が抑えられてしまう恐れがあるとして、さらに裁判で争うつもりだ。
9月始め、米連邦地方裁判所は、国家安全保障書簡(National Security Letter:NSL)として知られる監視戦略を違憲だとする判断を示した。これに対し米司法省は、予想にたがわず、上訴する意志を示す書面を米国時間11月5日に提出した。AP通信の報道によると、提出された書面は1段落のみで構成されており、特段の意見は付け加えられていないという。
NSLを使用する権限はここ何十年か行使されているが、これが実効性あるものとして拡大されたのは、2001年9月11日の同時多発テロ事件以降のことで、物議をかもしている反テロリズム法(Patriot Act)によるものだ。同法によって米連邦捜査局(FBI)は、事前に判事の承認を得ることなく、インターネットサービスプロバイダー(ISP)に対して、電子メールのやり取りや検索クエリといったログの提供を秘密裏に要求することが認められている。この権限は銀行記録や通話記録の入手にも行使できるが、目的はテロ関連の捜査のみに限定されることになっている。
通常、NSLはかん口令を伴っており、受け取った側はNSLの内容を公表する自由を制限される。ニューヨークのVictor Marrero地裁判事は、このかん口令が「十分な厳密さをもって法制化」されていないとし、それゆえに憲法修正第1条に違反すると判断した。
FBIによるNSLの非合法的使用はすでに、内部監査によって報告されている。2007年になって、司法省の監察官がNSLの「深刻な濫用」を指摘した報告書を発表し、議会に激しい批判を引き起こしたが、NSLの非合法使用は法解釈上さして重大ではないため、確固たる罰則はくだされなかった。
アメリカ自由人権協会(ACLU)は、匿名のISPに代わりNSLは違法だとする文書を提出した。匿名のISP企業の代表は11月5日、かん口令に対する意見をACLUを通じた声明で発表した。
「私のようにNSLの規制を直接体験した人々が、公開の場や報道の場、議会の場で、それぞれの抱く懸念を発言することが困難になり不可能になることこそ、おそらくかん口令の最たる悪害だろう」と、身元を明かしていない原告は声明で述べている。「言論の自由と政治的論議の価値に対して米国が負うべき責務だと私が考えるあらゆる点において、これはまったく正反対のものだと思える」
上訴審でも連邦地裁の判断が支持されることは間違いないと考えていると、ACLUの国家安全保障プロジェクト担当ディレクター、Jameel Jaffer氏は語っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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