インターネットサービスプロバイダ(ISP)に対して情報提供を内密に要求することを米連邦捜査局(FBI)に認める条項が含まれる反テロ法(USA Patriot Act)について、米連邦判事は米国時間29日、憲法違反であるとの判決を下した。この判決は、政府による監視に広範な影響を与えることになりそうだ。
Victor Marrero地裁判事は、同法のこの部分について「憲法修正第1条に違反し、言論の自由を抑制する」と述べ、FBIが将来、同項目で与えられた権利を行使することを禁止した。
2001年に制定された同法によって、ISPや電話会社など、あらゆる通信手段を提供するプロバイダは、FBIからの秘密の「ナショナル・セキュリティ・レター(NSL)」に従うことが義務付けられている。FBIはNSLを使って、プロバイダに対し、住所や通話先、電子メールの件名、ウェブサイトの閲覧ログなどの契約者情報を提供するよう要求することができる。
アメリカ自由人権協会(ACLU)は今年4月、同法が言論の自由とプライバシーの権利を不当に制限するとして、ある匿名のインターネット企業に代わり訴訟を起こした。NSLを受け取ったプロバイダは、NSLのことを「誰にも」開示してはならないと同法では定められている。ACLUは、この要求が憲法に矛盾すると主張している。
NSLのような書簡のアイデアは、新しいものではない。同法は2001年9月11日のテロ事件発生から数週間後に立法化されたが、それ以前も、このような書簡がテロリストやスパイ容疑者の調査で用いられていた。同法の制定で変わったことは、FBIが判事の許可なしに、情報開示を求められるようになったことだ。FBIは一言、NSLがテロ調査に「関係」している可能性があると述べればよいことになっている。
Marreroは、FBIによるNSL利用を禁止する今回の判決について、90日間は効力が発生しないため、政府には控訴する時間があると述べている。
司法省の広報担当は29日午後、同省では現在「判決内容を調査中」で、今後については何も決定していないと述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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