ヤフーは7月21日、2007年第1四半期の連結決算を発表した。消費者金融企業が広告出稿を自粛したこと、オークション事業の伸び悩みなどが影響し、売上高は当初予想を下回った。
米Yahooが7月18日(米国時間)に、アナリストの予想を下回る決算を発表したばかり。19日のヤフーの株価は前日比1200円減(2.14%減)の5万5000円となっている。
売上高は前年同期比26.7%増の492億6600万円となった。4月20日時点では、売上高を500〜534億円になると予想していた。なお、経費を抑えたことで利益については予想の範囲内に収めた。
金額(円) | 前年同期比(%) | 前回予想(円) | |
---|---|---|---|
売上高 | 492億6600万 | 26.7 | 500〜534億 |
営業利益 | 239億9000万 | 30.3 | - |
経常利益 | 229億4200万 | 28.8 | 226〜252億 |
純利益 | 132億200万 | 28.1 | 129〜145億 |
広告事業は、金融庁が強引な取り立てなどの違法行為を理由に、消費者金融のアイフルに業務停止命令を出したことを受けて、消費者金融業界が全体的に広告出稿を減らしたことが響いた。また、ヤフーによれば、広告主に景況感の減速がみられるという。ただし、ソフトバンクが買収したボーダフォンが新機種の大規模なキャンペーンを展開したことなどから、同事業の売上高は前年同期比50.8%増となった。
オークションを含むパーソナルサービス事業では、Yahoo!オークションの落札システム料を3%から5%に上げたことで、システム利用料収入が大きく伸びた。2003年3月期にシステム利用料を導入したときには取扱高が月次で20%以上減少したが、今回は5%程度の減少にとどまったという。一方、予定していた施策が遅れたことで、同社が予想していたほど取り扱い量は伸びなかった。
6月にヤフーは三井住友銀行グループと業務提携することで合意している。Yahoo!オークションにおいて、落札後の利用間の決済に関する新サービスを11月にも開始する計画だ。
米Yahooは18日、新しい広告プラットフォームの提供開始を延期すると発表し、株価を大きく下げている。この点についてヤフー代表取締役社長の井上雅博氏は、「米国はGoogleとの競争が厳しい。Googleを超えるシステムを開発することで増収に結びつくと期待していたアナリストの失望を買った。一方、日本は米国に比べて市場が2年ほど遅れており、新広告プラットフォームに対する緊急度がさほど高くない。そのため、日本での影響は限定的だ」と見通しを語った。
決算会場の場では、ページビューが伸び悩んでいるのではないかという指摘がなされた。これに対し、井上氏は「これまでの数年間は、ナローバンドからブロードバンドへの移行が進んだ期間で、あたらしくインターネットを始めたという人が増えた時期だった。しかしいまはブロードバンドの普及が終わり、新しいインターネット利用者の増加も限定的になっている」と分析し、環境的な要因が大きいことを示唆した。
2007年3月期第2四半期の業績予想については、売上高が510〜549億円、経常利益が226〜259億円、純利益は131〜149億円としている。
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