創設からほんの数年しかたっていない太陽電池開発の新興企業、Nanosolarが、BP Solarやシャープといった業界大手の多国籍企業に挑む壮大な太陽電池製造計画を打ち出した。
カリフォルニア州パロアルトにあるNanosolarは米国時間6月21日、太陽電池の大量生産を開始するための資金を獲得したことを明らかにした。計画によるとNanosolarは、カリフォルニア州に製造施設を建設し、いずれは年間430メガワット分の太陽電池セルを生産する。これが実現すれば、Nanosolarは数年以内に世界屈指の大手太陽電池メーカーの1つになるはずだ。同社はさらに、カリフォルニアで製造した太陽電池セルをソーラーパネルに組み込む工場をドイツに作るという。
Nanosolarの最高経営責任者(CEO)であるMartin Roscheisen氏は、Nanosolarの主要な武器はコストの安さにあると話す。Nanosolarは、太陽電池セルを硬いシリコンから作るのでなく、CIGS(銅、インジウム、ガリウム、セレン)系半導体材料をポリマーの薄膜に組み込む方法を考案した。最終的には、Nanosolarのソーラーパネルは、標準的なシリコン系ソーラーパネルの5分の1のコストで製造できるようになり、工場の生産能力の拡大も容易になると、Nanosolarは述べている。
「(一般的な太陽電池メーカーが)400メガワット級の太陽電池工場を作ると、10億ドルの費用がかかる。われわれはその10分の1のコストでできる」と、Roscheisen氏は語る。「ロールツーロール方式なので、ずっと簡単だ。(ポリマーフィルム)1ロールで長さ3マイル(約5km)分の太陽電池セルができる」
Nanosolarはまず、CIGS太陽電池セルを比較的標準的なタイプに近いソーラーパネルに組み込み、ソーラーファーム施設向けに販売する。しかしいずれは、大型小売店の屋上に太陽電池のシートが設置されて電力を生み出すようになるだろうと、Roscheisen氏はつけ加えた。
このような急速な事業の拡大を支えているのは、Nanosolarに1億ドルもの巨額の資金を注ぎ込んでいる数々の投資家たちだ。投資家には、Mohr Davidow Ventures、Googleの共同創設者のLarry Page氏とSergey Brin氏、eBayの共同創業者のJeff Skoll氏が投資する新興の自動車企業、米国陸軍のベンチャー部門OnPoint Technologiesなどが名を連ねている。合計1億ドルのうち、約7500万ドルは株式による資金調達で、残りの2500万ドルは補助金やその他の融資から成っている。
この2年間、石油と電力の価格が高騰する中で、投資家たちが代替エネルギー企業に集まるようになった。
太陽光発電関連企業も、この傾向の恩恵を大きく受けている。需要の急激な増加で、2004年に始まったシリコンパネルの供給不足は2007年まで続きそうだ。建設業界でも、ソーラーパネルを取り付けた新築住宅の建設を始めている。
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