IBMといえば1980年代にパーソナルコンピュータ関連のビジネスにお墨付きを与えたことで有名だが、その同社がPC部門の売却交渉を進めているという話が浮上。この動きが業界再編につながる可能性が出てきた。
米国時間3日のNew York Times紙の記事によると、同社は中国のLenovo Group(旧Legend)や、ほかにも少なくとも1社との間で、PC部門の売却について交渉中だという。この記事によると、同部門の売却額は最大20億ドルになる可能性があるという。
IBMの広報担当Clint Roswellは3日、同社の方針として噂や推測にはコメントしない、と語った。Lenovoの関係者からもコメントを得ることはできなかった。
同日午前中にIBM株は1.28%上昇し、97ドル付近で取り引きされていた。
IBMによるLenovoへのPC部門売却は、ジョイントベンチャーのような形になる可能性が高いが、これは両社にとって理にかなったものだとアナリストらは述べている。消費者向け製品からの撤退を進めているIBMがこのような提携を結べば、舵取りが難しく赤字転落も珍しくない事業から開放される一方で、自社の顧客に提供するためのデスクトップやノートPCを確保できるからだ。
IDCアナリストのRoger Kayは、「(IBMにとって)PCビジネスは本流からはずれた差別化の難しいビジネスだ。グローバルなサービスや大規模なコンピュータなど、もっと利益の出るビジネスがIBMにはある」と語り、さらにこの提携がまとまれば「IBMは戦略上重要でなく、利益も生まないビジネスから撤退できる」と付け加えた。
他のアナリストのなかには、完全な売却よりもジョイントベンチャーの方がIBMにとって理にかなっているという者もいる。UBS Securitiesのアナリストは3日に公表したリサーチメモで、「IBMは(PC部門の)利益拡大を目指しているはずだが、ビジネスを完全に売却してしまうようなことはせず、個々のビジネスや流通に関して有意義な提携を結ぶかもしれない」と述べている。
このレポートはIBMに対し、法人ユーザー向けの売上が低下する可能性があるため慎重になるべきだ、として警告している。ライバル各社がサーバやソフトウェアを含む利幅の大きい大規模な契約を獲得するための手段として、PCの販売を利用する可能性があるからだという。
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