The New York Timesによると、IBMはPC事業部門の売却に向けて、中国ナンバー1のPCメーカーであるLenovo(旧Legend)をはじめとする複数の企業と現在交渉を進めているという。売却金額は10億〜20億ドルの範囲になる模様。なお、米国時間2日に同紙のウェブサイトに掲載されたこのニュースについて、同紙はこの交渉に詳しい情報筋の話としており、IBMの広報担当者は「社の方針に基づき、噂話については肯定も否定もしない」とだけ述べている。
この記事によれば、現在IBMの年間売上高920億ドルのうち約12%を稼ぎ出すPC部門も、税引き前利益は1億ドルに満たず、同社の他の事業と比較して収益力の点で見劣りしている。このため、業界アナリストのなかにはかねてからIBMに対して同市場からの撤退を勧める声もあったものの、IBM幹部らは企業顧客にとってPCは必要な技術製品であるとして、こうした選択に抵抗していたという。
だが、調査会社Gartnerによる最新の報告では、PC世界市場におけるIBMのシェアは5.6%で、首位のDell(16.8%)と第2位のHP(15%)から大きく引き離されており、今回の動きの背景にはこうした事情もあると同紙記事には記されている。
IBMでは、2002年にSam PalmisanoがCEO(最高経営責任者)に就任して以来、サービス事業への傾斜が加速している。これまでにもハードディスク製造部門を日立に売却する一方、2002年10月にはPricewaterhouseCoopers Consultingを35億ドルで買収する契約を行っている。
「PC業界では今後さらに淘汰が進み、向こう数年間で上位10社のうち3社が姿を消すことになる」との報告が先ごろGartnerから出されたばかりだ。PCを個人のホビーからビジネスツールに変えた老舗のIBMがこの市場から撤退することが決まれば競合他社への大きな影響は必至で、業界再編に拍車がかかる可能性もある。
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