IBMは米国時間14日、データ統合ツールメーカーのAscential Software(本社:マサチューセッツ州ウエストボロ)を11億ドルで買収することを明らかにした。
同社によると、今回の買収は2004年に3桁成長を記録した情報統合分野の事業を補完するものになるという。
Ascentialの2004年度の売上は、前年比46%増の2億7190万ドルだった。
IBMのJanet Perna(情報管理ソフトウェア部門担当幹部)は、今回の買収について「市場の勢いを利用するためのもの」と述べ、さらに「この買収によって、IBMは情報統合関連の製品ポートフォリオを非常に素早く揃えられることになる」と付け加えた。
IBMはAscentialに対して1株あたり18ドル50セントを支払う。この買収が完了するには、Ascentialの株主と監督機関の承認を受けるほか、慣例的なさまざまな契約条件を満たさなくてはならない。IBMによると、買収の完了は第2四半期になる見通しだという。
同社は、Ascentialを情報管理ソフトウェア部門の1事業部とし、Ascential製品をIBMの製品ラインに組み込む予定だ。
IBMは、市場への製品投入にかかる時間を短縮するため、ソフトウェアを社内開発する代わりにAscentialを買収する道を選んだという。社内で進行中の業務を把握すべく各種システムのデータ結合を目指す企業各社にとって、情報統合は現在最優先事項になりつつある。
Ascentialの現CEO、Peter Gyenesは、この買収により、IBMのソフトウェアグループ内でPernaの直属となる役職に就くとみられている。IBMの関係者は14日、Ascentialの現社員にはIBMでのポジションが用意され、レイオフの計画は全くないと語った。
Ascentialの経営陣は金融アナリストとの電話会議のなかで、両社が相互に補完的役割を果たす既存製品ラインの統合を目指していくと述べた。IBMでは現在、Ascentialのソフトウェアの一部を再販している。
IBMの情報統合製品は、離れた場所にある複数のデータソースに問い合わせを行うよう設計されている。一方、Ascentialの主力製品は解析のためにデータを1カ所に集めるためのものだと、Ascentialの幹部は説明している。
Gyenesは、IBMによる買収提案のタイミングと、幅広い統合関連ツールを販売したいという自社の希望が今回の買収を後押ししたと述べている。
「このタイミングになったのはチャンスが訪れたからだった。この合併が実現すれば、本当の意味で競争力の高い機能を持った製品を提供できるようになるだろう」(Gyenes)
なお、Gyenesは同社の競合相手としてMicrosoft、Oracle、SAPの名を挙げた。
IBMが情報管理分野の製品を開発する企業を買収するのは、2001年以来これで8社めとなる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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