研究者らは、ナノテクノロジーが超小型スーパーコンピュータを実現したり、世界のエネルギー問題の多くを解決する日が来ると信じている。だがその前に、ペンシルベニア州のある会社ではナノ粒子を使って靴下の匂いを何とかしたいと考えている。
NanoHorizons(本社:ペンシルベニア州ステートカレッジ)は、標準的なポリマー製造プロセスで加工可能な一連の金属ナノ粒子を発売した。これにより、靴や運動用具、その他のプラスチックやナイロン製品などに、臭いの元になるバクテリアなどの微生物を殺菌する金や銀などの金属を混ぜ合わせることが可能になる。
NanoHorizonsの業務担当ディレクター、Dan Hayesは、「現在は、靴下メーカーと協力しているところだ」と語った。この靴下は1年ほどで発売される。
現在は、メーカー各社が素材のかたまりとポリマーを混合したり、表面に金属レイヤを蒸着させることで、これらの金属を製品に混入できる。しかしHayesは、この手法ではメーカーが製品に大量の金属を混入する必要があるため、重量やコストがかさみ、耐久性や特性が変化してしまうと説明している。
これに対し、NanoHorizonsは、殺菌効果のある化学反応を引き起こす金属の、表面積を大幅に広げる球あるいは棒状の粒子を考案した。メーカーがはるかに少ない量の金属で通常の金属ブロック層で実現するのと同じ結果を得たり、同量の金属でより多くの微生物を殺菌できるようにするのがその狙いだ。NanoHorizonsでは、同社の粒子はブロック形状のものと比較して20〜100倍のバクテリア殺菌効果があるとしている。
100ナノメートル未満(ナノメートルは10億分の1メートル)の大きさの部品や分子で製品を作り出すナノテクノロジーは、ゆっくりとだが確実に1つの技術市場を形成しつつある。
コンピュータ科学者らは、おそらくいつの日か人工分子でチップを作り出すだろうが、今後数年間に出てくる「ナノテク」の進歩の大半は、普通の製品に応用されることになる。自動車メーカーはナノ粒子を混入することでフロントガラスのギラツキを抑えている。汚れにくいズボンには、ほとんどの物質をはじくナノ粒子が混入されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス