ボストン発--ナノテクは、すでに10億ドル規模の産業になっており、しかもようやく実験段階を過ぎたばかりだ。
米国政府は2004会計年度に、ナノテク研究に10億ドル近い資金を提供し、2005〜2008会計年度中にさらに37億ドルを追加する計画だと、国立ナノテクノロジー調整事務局のディレクター、Clayton Teagueは述べている。同事務局は、学術研究者や企業、政府部局の間の協力を支援する政府機関だ。
Teagueは8日(米国時間)、ボストンでNano Science and Technology Instituteが開催している「Nanotech 2004」トレードショーで講演し、「米国連邦政府は・・・財政状態を犠牲にすることなく・・・ナノテクの約束するものを実現させることに力を入れている」と述べた。「政府や議会議員はこの分野が今後我が国の経済に大きく貢献するものになると期待している」(Teague)
Nanotech 2004は、ナノテクノロジーという比較的新しい科学分野に関心を持つ、さまざまな科学者や企業幹部、政府官僚が一堂に会するイベントだ。ナノテクノロジーを利用したデバイスや素材は、その微小なサイズゆえに、今まで知られていなかった性質を有しており、ソーラーパネルやマイクロチップなどのデバイスの機能改善に役立つ可能性がある。同イベントの基調講演では、ナノテクにはコンピュータやエネルギー産業、医療などさまざまな産業を発展させ、さらに新たな産業を生み出す可能性が秘められている、と述べられていた。
Teagueによると、米国の2004年度研究開発予算1270億ドルのうち、約9億6100万ドルがナノテクプロジェクトに拠出されるという。この金額はそれほど大きくないものの、2001年から見ると107%増だとTeagueは述べている。一方、ブッシュ大統領が1月に承認した「21st Century Nanotech Research and Development Act(21世紀ナノテク研究開発法案)」により、さらに37億ドルが投入される見込みだ。
日本やEUもそれぞれ、同規模の投資を行なっているとTeagueは見積もっている。EUの一部門である欧州委員会は8日、ナノテクによる新チップ製造プロセス開発に2400万ユーロ(約3000万ドル)を投資すると発表した。企業各社も出遅れてはいない。ナノテク研究開発法案により、企業がナノテク研究に投資する金額の総額は、政府の投資額以上になるはずだ。米国各州もナノテク研究計画に乗り出し、年間2〜3億ドルを投入するようになるだろう、とTeagueは話している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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