ナノテク業界を代表する企業の1つ、Nanosysが、株式公開の申請を行ったが、同社の株価は1株あたり15〜17ドルになりそうだという。同社が15日(米国時間)に提出した書類から明らかになったもの。
Nanosys(本社:カリフォルニア州パロアルト)は、米証券取引委員会(SEC)に提出した書類の中で、新規株式公開(IPO)を行い、625万株を一般に売り出す計画があると説明している。同社の株式は「NNSY」というティッカーシンボルで取引されることになる。
IPO後は約2200万株の発行済み株式が存在することになり、同社の時価総額は3億5000万〜3億7000万ドルになる可能性がある。これは、2003年の同社の売上高310万ドルの100倍以上にあたる金額だ。
Nanosysは、高性能なソーラーパネルや、折り曲げ可能なスクリーン、コンピュータ向けの高密度メモリなどへの応用が期待される分子の設計に特化した企業。ナノテクノロジーとは100nm(ナノメートル:1nm=10億分の1m)未満のサイズの部品を使って製品を作る科学技術を指す。ナノテクに関して、サイズ以外の点で、研究者らが最も興味を抱いているのは、これほど極小の世界になると事象の特性が変化するということだ。たとえば、金はもはや金色ではなくなり、またシリコンを電気を保持するのに使えるようになる。通常シリコンは電気を通すだけのものだ。
規模は小さいものの成長中であるナノテクの世界で、従業員数34人のNanosysは、知名度の点でも人的なコネクションの点でも最も恵まれた企業の1つだ。また、同社に株式公開するだけの力があるかどうかを見て、ナノテク業界の将来を占うバロメーターにしようとする者も出てくるだろう。
Nanosysはすでに、Intelやいくつかの政府機関、DuPont、IN-Q-Tel(CIAが始めた企業)などとの開発案件を獲得している。同社はまた、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)、イスラエルのヘブライ大学などの研究機関で開発した知的財産を商用化するライセンス契約も結んでいる。
商用的に実現可能な分子を設計するには何年もかかる。さらに同社は、自社より大きなライバル企業や他の新興企業、法制面の変更、ナノテクに対する一般の疑いの目や、知的財産をめぐる論争に立ち向かっていく必要が出てくるだろうと、NanosysのIPO申請書類には記されている。
2002年に28万3000ドルだった同社の売上は、2003年には310万ドルへと増加している。現在の売上の多くは調査活動からのもので、たとえばIn-Q-Telでは、Nanosysに対してその研究成果に最大で300万ドルを支払うことに同意しており、Intelでも190万ドルを支払う同様の契約を結んでいる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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