欧州連合(EU)は今週、停滞していた、チップメーカーIntelに対する独占禁止法違反の調査を再開した。EUについては、「米国との対決に意欲を燃やす攻撃的規制者」との評判が高まっているが、今回の調査再開はその評判を再認識させるものとなった。
同調査は、Advanced Micro Devices(AMD)の強い要請により、2年前に開始された。法律の専門家らは、今回の調査再開は、競争規制に対し欧州が影響力を強めつつある現状を象徴するものだと指摘する。欧州は、競争の規制に関して新たに浮上しているいくつかの重要な政策問題で、米国との対決姿勢を強めている。
「適切な競争政策はどうあるべきかという議論に欧州も参加しだした」と語るは、英国に拠点を置くFreshfields Bruckhaus Deringer法律事務所のワシントンD.C.オフィスに所属する弁護士M.J. Moltenbreyだ。「従来、(世界各国の)人々は米国が独占禁止法の分野で最先端を走り、最新の経済理論に歩調を合わせていると考えていた。現在EUは、米国と並び世界最先端の議論の場となっている」(Moltenbrey)
競争の規制における欧州の役割の変化が最初に認識されたのは、およそ3年前のことだ。当時、EUの競争政策局は、米国の規制当局が既に承認していたGeneral ElectricとHoneywellの合併を認めなかった。また今年はじめに、同局はMicrosoftに対し史上最高額となる6億ドルの制裁金を科した。米政府関係者は、EUの裁定について、米司法省とMicrosoftとの間で昨年成立した和解と衝突するという。
この罰則の厳しさは、独占者の消費者に対する影響よりも、競合他社に対する影響をより重視する欧州の独占禁止法の考え方を反映するものだ。その結果、Microsoftのケースで欧州の規制当局は、Microsoftの活動がSun MicrosystemsやRealNetworksといった同社のライバル企業に与えた影響を米国の規制当局以上に重視した。
Intelのケースでも、米国の規制当局が重視するであろう度合い以上にEUの規制当局がAMDなどの同社のライバル企業から出された苦情を重視した。これには、Microsoftの場合と同じ考え方が根底にある。
PCプロセッサ市場における優位な立場をIntelが乱用したか否かに焦点を当てるECの調査は2001年に始まった。最近は調査に大きな動きがなかったが、まだ終結したわけではない。AMDは欧州委員会と連絡を取り合い、情報提供を続けてきた。
法律の専門家らは、米国と欧州の競争法には重大な相違点が存在し、それらがIntelに対する調査の今後の行方を左右すると指摘する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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